gumbo(ガンボ) 前編/抗えぬ風

十年ほど前。ハタチぐらいの頃に、
“たかのてるこ”「ガンジス川でバタフライ」という本を読んだ。

その頃の私と同じぐらいの年齢だった”たかの氏”が、
女一人で東南アジアを旅する話である。

それを読んで以来、それまで海外になんかちっとも興味が無くて、
一生日本から一歩も出なくてもまったく構わないし、
ましてや東南アジアみたいな治安の悪そうなところへ絶対に行きたくない!

・・・と思っていたのが、一変。
東南アジアを旅せずに死ねるか!と夜な夜な枕を涙で濡らすまでに至った。

しかし、十年ものあいだ、ずっと行きたいと思いながらも、
私も一応仕事も持っているので、なかなか行く機会を掴めないままに日々は過ぎ去り・・・。

近年、東南アジアは私の中で憧れの存在、
もとい憧れの地域具合を極限まで高め切っている。

そんな東南アジアに少しでも行った気にさせてくるのが、
ベトナム料理やタイ料理などの、アジア料理店。

だが皮肉にも、高知にはアジア料理店が少ない。
指で数えられるぐらいしかない。

やれやれ。と村上春樹みたいに、
やれやれやれやれ思いながら、アジア料理店もないので、
ヤケクソでうどんを喰いまくったりして、憂鬱な毎日をやれやれ暮らしていると・・・。

唐突にムシマルさんが・・・!
俺のハートを射抜いてきた・・・!

<なにっ・・・!?ココナッツカレー・・・!?
しかもフォーまであるじゃないか・・・!>

先日のオフ会でお会いした、「ムシマルの(主に)高知うろうろ記」という、
主に高知をうろうろするブログを書かれているムシマルさん。

そのムシマルさんのうろうろブログに、「gumbo」という名の、
女子ウケが良さそうなオシャレなカフェが掲載されていたのである。

東南アジア料理専門のお店、というわけではなさそうだったけれど、
それでもメニュー画像に見える、「ココナッツカレー」「フォー」という文字に、
私の心は、社交ダンスかフラダンスか、洋服ダンスのように踊った。

<どうやってこんな店を見つけているんだムシマルさん・・・!
俺が場末のうどん屋で・・・白い麺に醤油をかけているあいだに・・・!
ムシマルさんはこんなオシャレな店でカレー喰ってんのか・・・!>

俺も行きたい・・・!
行って俺は東南アジアの風になるっ・・・!

ただ、このときは、ブログこそコッソリ拝読していたけれど、
まだムシマルさんとまったく面識がなくて、
コメントのやり取りすらしたことが無い勢いだったので、バッチリ読み逃げしおおした。

gumbo

『gumbo (ガンボ)』

ムシマルさんのブログで見て、絶対にスグ行く!と心に決めていたのに、
群雄割拠のうどん屋が邪魔をするせいで、実際に行けたのは、2ヶ月後だった。

高知市帯屋町、中央公園の西側のビルの看板に、
目指す店の名を記すアルファベットの羅列を発見したまでは良かったが、
そのビルの前で、若干、尻込み。

<gumboは3階・・・!
当然・・・中の様子をうかがい知ることはできない・・・!
これは・・・!ドキドキだぜ・・・!>

高知のうどん屋で、ビルの2階や3階に店があるパターンは皆無。
つまり私には、ビル攻めに対する免疫がない。

gumbo 下

3階の店に上がる選択肢は、ふたつ。
エレベーターと、階段。

しかしエレベーターで上がると、
万が一の場合に逃げられなくなる可能性がある。

戸が開いた瞬間に店の人がいたら、八方塞。
もう“入る”しか選択肢はなくなる。
「店の雰囲気が合わない気がするので、やっぱり入りません」なんて私には言えない。

<エレベーターは危険・・・!
階段だ・・・階段を・・・上って行けっ・・・!>

足音を立てないように、
慎重に階段を上って、3階まで達す。

コソコソ見やる店内。

入口と外を仕切るガラスの向こう側に、
数人の若い女性が談笑しながら食事しているのが見える。

<茶系の落ち着いた色合い・・・!
男の俺でもある程度持ち堪えられそうな雰囲気・・・これなら大丈夫そうだ・・・!
なにせもう・・・流れ出てくるこの美味しそうな香りに抗うことなどできない・・・!>

(後編へ続く・・・!)
『後編を読む』

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著者

竜一

農場経営とブロガーをしています。農協系露地ショウガ農家。1982年高知県生まれ。農業界のうどん野郎/2歳児のパパ/ブログ歴14年/特技は草刈り。ブログとTwitterで「食と農業」をテーマに発信していて、最近は日本の食文化、とくに「家庭料理」に興味があります。


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