ある日、『草や』のオニ嫁さんからブログにコメントが入った。
そのコメントを読んで、しばらく言葉を失った。
「やまいち・・・閉店・・・!」
このブログでも何度かレポートさせてもらっている、
香美市土佐山田町にある、『手打ちうどんやまいち』
以前は、南国市・・・と言ってもかなり土佐山田町寄りの、
今もまだ開通していない『あけぼの街道』沿いにあった。
当時の記憶が蘇る。
喫茶店風の店内。
入り口を一歩入ると、イラストや雑貨が展示されたギャラリーのようなスペースがあって、
他のうどん屋さんとは一線を画す、やまいちらしいオシャレな世界が広がっていた。
奥に行くと、
やはりオシャレな喫茶店風のテーブルやイスが並べられた飲食スペースがあり、
普段、庶民中の庶民のような生活をしている竜一は、若干緊張したのを覚えている。
初めて食べたやまいちのうどんは・・・。
さすがに記憶が薄れているのだけど、
たしか、『釜玉』!
でも本当のことを言うと、その当時は、
麺の太さや食感、卵の半熟具合などに多少の不満があり・・・。
つまりは、私好みのうどんではなかった。
だけど、愛した・・・!
自分の好みでは無いにしろ、
なにせ、やまいちのうどんには、愛があった。
麺線を伝わる・・・!
云わずとも小麦を通じて分かち合える・・・!
そんな愛がっ・・・!
うどんでも、人間でも、
一番大事なのは、外面の良さではない。
愛や優しさ。心。魂。
内に秘めたるものこそが、よっぽど大事なのである。
常に何かを感じさせてくれる。
そんなやまいちに惹かれながらも、
南国市にある当時は、どうしても好みの違いを埋めきれず、
そこまで通ってはいなかった。
しかし、
土佐山田町に移転してから、
状況変わる。
移転したやまいちのうどんを食べて、
驚いた。
どういうわけだか、
味が急激に竜一好みに変化していたのだった。
それからは通うペースも一気に上がった。
いつしかやまいちは、私のお気に入りの店になっていた。
そして、これからご紹介するうどんが、
そんなやまいちで私が食べた、最後のうどん。
この時は、
まさかこれが最後の一玉になるとは、思っていなかった・・・!。
『釜あげ明太バター(大盛り)』
茹で上がったばかりの釜あげ麺に、明太子とバター。
それから醤油を絡ませて食べるという、
パスタのような、やまいちらしい攻撃的うどん。
メニューに、「大盛りまで」と書かれてあって、
いつもの『特盛り』を自重した。
何故、大盛りまでしか出来ないのかは分からなかったけれど、
提供する側の事情があってのことだろうから、
私も野暮なことは聞かなかった。
というか、持病のアビリティ【人見知り】が発動して、聞けなかった。
明太とバターと小麦の香り。
モチモチとした食感の釜あげ麺。
ほんのりとした甘さに、
明太の塩辛さが刺激的に交じり合って協奏していた。
『生しょうゆ・温(大盛り)』
最後に撮っておいて良かった、ちく天空中殺法。
通称、『うどん界の立体交差』
天ぷら類も秀逸だった。
もう何処かで『やまいち』のうどんが食べられることは無いのか・・・。
あの鳥天も・・・。好きだった肉入りの温玉醤油も・・・。
今年食べそびれて楽しみにしていた、来年の『冷やしかけ』も・・・。
全部、幻になってしまうのかな・・・。
上の画像は、営業していた頃のものです。
先日、前を通ったら、もう看板などはすべて取り外されていて、
中でどなたかが何かの作業をされていました。
遠目で一瞬だったのでよく分かりませんが、
やまいちの店主では無いように見えました。
店の前には、既に中華料理の写真が入った看板(旗?)が設置されていて、
なにか、もうすぐに中華料理屋に変わるようです。
今まで本当にお疲れ様でした。
美味しかったです。
ごちそうさまでした。
最後、店を出る時に大将が言った一言。
「ありがとうございました」
それは俺のセリフや。
(;ω;)