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"一杯のうどんを食べるということは、
こんなにも大変なことなのか・・・!"
今夏以降、
私はそれを思い知らされている。
あるうどん屋さんに出向いたら、臨時定休日。
また、あるうどん屋さんに夜に出向いたら、
私が行った曜日だけ、夜営業なし。
さらに、理由は分からないが、
ナゼか店が開いていない、謎の休業パターンなどなど・・・。
もはや、「竜一が来ると分かったら、暖簾を片付けているのではないか!」
と思わざるを得ない状況下、新たに開店された穴場的うどん屋さんに出向いたら、
以前に前を通りがかった際に見た、『うどん』と書かれたのぼりが無い。
大きな窓の奥に見える店内は、やけに暗い。
その時点で、嫌な予感しかしなかった。
店前の道路上に車をとめて様子を伺っていると、
中から店主と思われる男性が出て来て、苦笑しながら言う。
「すいません・・・!
今日はもう出汁が切れてしまいまして・・・!」
「あぁ・・・はいはい・・・!」
まさかのパターン。
まさかの出汁切れ。
<そう来たか・・・そう来たかそう来たか・・・!
麺切れならいざ知らず・・・出汁切れと来たかっ・・・!>
が、少し思った。
<俺・・・別に・・・出汁要らんけど・・・!
醤油うどんで全然問題無いんやけど・・・!>
しかし、店側が既に暖簾も片付けてしまって、
食わす気ゼロの状態では、どうしようもない。
<けっ・・・最近の俺は・・・!本当にツキが無いし・・・!
なにしろ・・・"うどん運"に見放されてやがるっ・・・!>
しかし、お腹が空いた。
<喰えませんでしたから・・・帰ります・・・!?
そんなことが出来るか・・・俺のお腹はペコペコっ・・・!>
グーグーグーグー・・・!
鳴り響いてんだよっ・・・!
私は、急遽、
他の店を脳内検索した。
検索結果が出るのに、大して時間は掛からなかった。
<こんなこともあろうかと思っていた・・・!
ツキ・・・うどん運に見放された今なら・・・!
何が起きても不思議は無いと思っていた・・・!>
クク・・・すべては想定の範囲内・・・!
ならば・・・!二の矢・・・!
ストレート・・・真っ向勝負で駄目ならば・・・!
変化球・・・伝家の宝刀でねじ伏せてやるっ・・・!
打者の手元でクイッと曲がる、岩瀬のスライダーみたいにして、
『サンシャイン朝倉』の前をクイッと曲がって、住宅街に進入。
一年半ぶりだった。
何度か来た道、迷うことも無く辿り着く。
『本格手打 うどん処 楓』
閑静な住宅街の中で、
一層の趣を増して佇んでいた。
砂利が敷き詰められた庭に車を停めて、入口へ歩く。
店から漂う空気に、
以前は感じなかった独特の雰囲気、風格を感じた。
(エピソード2へ続く・・・!)
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