【閉店】山猫軒

2013.06.30

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【閉店】山猫軒

2013.06.30

* 山猫軒はその後に閉店されました。

Uターン禁止の電車通り。
駐車場が無いらしいのでコインパーキングを探す。
コインパーキングはなかなか見つからない。

店の周囲を反時計回りに2周した。
コインパーキングは、店の数メートル東にあった。

そこに高級な軽自動車を停めて、店まで歩く。
平日の上町。買い物袋を提げた人々が行き交う。

コインパーキングから「徒歩1分」といったところ。

山猫軒0

『山猫軒』「上町5丁目」電停の北側、真向かいにあった。

ちょっとだけドキドキする。
初めてだし、一人だし。

<でも後戻りできない・・・>
私は覚悟を決める。<コインパーキングに車を停めたんだ、ここで逃げると駐車料金が無駄になる・・・>

たまたまフラッと立ち寄った人、みたいに澄ました表情を作って、中に入る。
おそらく店主だと思われる男性が笑顔で迎えてくれる。

山猫軒1

私はカウンター席に腰を下ろして、そこに置かれたメニューを見た。
ラーメンもあれば、うどんもある。

<ラーメンにするか・・・うどんするか・・・>
麺野郎の心は揺れる。乙女心が揺れるように。

<ラーメンさんと一緒になったほうが幸せになれるの・・・?>
と思った。でも事は単純じゃない。<ラーメンもいいけど、俺・・・うどんのことだって好きなんだよ・・・!むしろ・・・元々はうどんのほうがっ・・・!>

ラーメンか、うどんか。
そんな2拓に私は段々と疲れ始めていた。

<あいだだ・・・あいだを取る・・・!>
この局面で、どちらかを選ぶなんて私にはできない。

「すっ・・・すいません・・・!」
まるで誤っているみたいに店主を呼ぶ。「ジャジャジャ・・・ジャージャー麺を・・・」

注文は、もちろんそれだけではない。
それだけでは大きくなれない。
私は大きくなるために、さらなる注文をする。

「あと・・・高菜ごはんを・・・」
店主は微笑みながら了承してくれる。
「はぁい!」

瞬間・・・!
駆け抜ける、違和感・・・!

注文を、し終えた直後にナニカが違う感覚がして、私は再度メニューを確認した。
「げっ・・・!」

しまった・・・!
しまりまくった・・・!

メニューには「高菜飯」「高菜チャーハン」
・・・二種類の高菜系が存在する。

私が食べたいのは、「高菜チャーハン」だ。
それなのに私はたしかに注文時、「高菜ごはん」と言った。

しかし「高菜ごはん」などというメニューは、"山猫軒"に存在しない。
それにも関わらず、私の注文を滑らかに了承した店主が「高菜ごはん=高菜飯」のことだと判断している可能性は高い。

あかーん!

訂正・・・慌てて訂正・・・!
「ああああああ・・・!あのっ・・・!ちがっ・・・!たたた・・・高菜・・・チャーハンで・・・!」

店主に言い終えてからメニューを三度(みたび)確認する。
やはりメニューに「高菜ごはん」はない。

<危ない・・・間一髪・・・!>
閉まりゆく扉に滑り込んだ、みたいな気がする。<あのまま"高菜ごはん"で注文を通していたら・・・あるいは"高菜飯"が来ていたかもしれない・・・!>

いったいどうして私は「高菜ごはん」と言ってしまったのだろう。
私にはわからない。そしてそんなことは、きっと誰にもわからない。

山猫軒2

とても静かな店内。
出入り口の向こう側から、路面電車や車が走る音が流れてくる。

注文してから、あまり待つこともなくやってきた『ジャージャー麺』を食べる。
食べながら思う。

<外は賑やかなのに・・・>
外界と店内で、時の歯車の回り方が違うんだ。<城下町の隠れ家・・・山猫軒・・・>

山猫軒4

特徴的な麺。
白い。そして極細。
水で締められていることもあるのか、歯応えがシッカリしている。

山猫軒3

<ジャージャー麺って・・・>
と私は記憶を探った。<食べたの・・・生まれて始めてかもしれない・・・>

山猫軒5

麺の上に乗った荒挽きの肉を、麺とよく混ぜて食べる。

<この麺の感じ・・・独特・・・食べたことがない感じ・・・>
ラー油だろうか。フワッと香る。<俺、わりと好きな雰囲気・・・元々細麺が・・・好きだけど・・・>

山猫軒6

ジャージャー麺を口一杯に含んでいるときに『高菜チャーハン』がきた。

カウンター越しにそれを手渡そうとした店主は、顔を上げることができない私の状況を見て、「あぁ!すいません!」とカウンターの外へ回り込んできてくれる。僕のほうこそ、すいません・・・。

<器がいいな・・・!>
とチャーハンを見て私は思う。<チャーハンって大抵が平たい皿に盛られているのに!>

山猫軒7

よくある、パラパラごはんのチャーハンと違って、フンワリごはんのチャーハン。
フンワリの中で、シャキッとした高菜が光る。

食べていると、サラリーマン風の男性客が一人来て、私からいくつか向こうのカウンター席に座る。
そして彼は店主に何かを注文して、店主は何かを作り始める。

出入り口の向こう側から、路面電車や車が走る音が流れてくる。
城下町の喧騒の中で、ここだけ時の進み方が違っているみたいに感じる。

私はゆっくりと、高菜チャーハンの最後の米の一粒をレンゲですくった。

山猫軒0 山猫軒8

◆ 山猫軒
(高知県高知市上町5-4-3 森ビル1F)
営業時間/12:00~15:00 - 18:00~21:00
定休日/火曜日
駐車場/無

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