正月の余韻、冷めやらぬ1月3日。
なんだか、ムラムラしてきた。
麺が食べたくて、ムラムラしてきた。
「まだ開いている店は少ないんだろうなぁ」
そう思いながらも、高知市へと向かった。
気になっていた市内東部の中華料理屋は、
案の定、閉まっていた。
『新年は五日から営業します』とある。
「やっぱそんなもんだよな~」
と、正月の現実を噛み締めながら車を走らせて、
高知駅近くまで来た時、ピン!と来た。
そういえば、駅裏に新しいうどん屋が出来てるんだった!
他に何軒か回ってみたけれど、
みんな閉まっているし、丁度良いから行ってみよう!
『土佐のうどん お食事 だいせい』
コインパーキングで有名な企業、
『株式会社ダイセイ』が出店した店らしい。
なんだか立派な建物。
オラの田舎には、わらぶき屋根の家しかねぇから緊張しただ。
一歩、二歩、足を踏み入れる。
(忍び足で)
木材をふんだんに使った店内は、
広々としていて開放的で、とてもキレイ。
渡辺篤史だったら、柱を撫でながら、
「いやぁあ~素晴らしいぃぃいいい~」
そう確実に言っている。
メニューを見て、驚いた。
とてもお上品なのだ。
おうどん・・・!
私は、渡辺篤史のように呟いた。
「なるほどぉぉおおおおお!」
上品な店内、上品な言い回し。
この時、竜一。
実は、ビビッていた。
高かったら・・・どうしよう・・・!
しかし、見てみると値段はそれほどでもなく、
安いとは言わないまでも、概ね相場通り。
注文を決めた。
店員さんを呼ばなきゃ・・・。
だけど、広い店内。
遥か彼方に、テーブルの後片づけをする
若い男性の店員さんが見える。
しかし・・・俺の声量は蚊の羽音ほど・・・!
発してもおそらくは・・・聞こえない・・・!
そう考えた竜一。
超音波を送る。
イルカと彼しか感じられない周波数で・・・!
超音波を・・・送る・・・!
すると、通じたようで、
彼がコチラを向いた。
その瞬間っ・・・!
今や!!!!!!!!!!
パタパタパタ・・・!
手を振って・・・!
呼ぶ・・・!
全力で・・・!
有りっ丈の力で・・・!
呼ぶっ・・・!
それはもう、ディズニーランドのミッキーマウスでも、
ここまでは振ってくれないだろうという勢いで、
青筋立てて、血眼でパタパタと手を振った。
何事かと歩み寄って来た店員さんに、注文する。
注文するのは、『土佐黒毛和牛のぶっかけおうどん』なのだけど、
正式名称を申すのは、妙に恥ずかしい・・・。
顔を赤らめ、うつむき加減。
ドモリながら竜一、略して発声!!
「わ・・わわわ・・・和牛ぶっかけ・・・!」
これで通れ・・・!
通れ・・・!
通ってくれ・・・!
すると、店員さん。
「はい!肉ぶっかけがおひとつ~」
よし・・・!
通った・・・!
正式名称ではなくても、
『肉ぶっかけ』で通じるようだった。
その時、店員さん。
「大盛りも同じ値段で出来ますよ!」
「え・・・!マジ・・・!?
じゃあ・・・10玉ほど盛って・・・!」
そう言った次の瞬間には、
店員さんは遥かカウンターの彼方に消えていたのだった。
(後編に続く)
続きはコチラっ! → 『土佐のうどんお食事 だいせい ~後編~』