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さっきは裏向きだった木の看板が、
『営業中』と書かれた表向きに変わっている。
<本日のまるしん・・・一番乗りゲットだぜ・・・!>
だが、11時を1分か2分ほどしか過ぎていないはずなのに、
既に駐車場には、高そうな黒塗りの乗用車が停まっていた。
店内に入ると、会社員風の男性が2名と、学生風の若い男性が1名。
<クッ・・・一番乗りの夢は叶わなかったが・・・それでも四番乗り・・・!
野球でも・・・!四番はチームの顔・・・!>
と、ワケの分からないプラス思考を働かせながらの着席。
壁の張り紙には、
『ひやかけ 1日限定30食 9月末まで』
と書かれた文字が、去年とまったく同じ様で踊っていた。
実は、内心、
今年もひやかけをやっているのか半信半疑だったから、
始まっていたことに安堵した。
そうしていると、今までには見かけたことが無い、
若くて可愛らしい女の子が注文を取りに来てくれた。
<新しいバイトの子かな・・・!>
ひやかけを注文をすると、問うてくる。
「15分ほど掛かりますが宜しいでしょうか?」
「は・・・!はい・・・!」
答えながら、ドキがムネムネと高鳴った。
<この問いが来るパターン・・・つまり・・・これは・・・!
今から湯掻きますよパターン・・・!>
来るっ・・・!
出来立てほやほや・・・!
釜から揚がったばかりの絶頂・・・!
まるしん・・・!
MAXエディションとも言える・・・!
ひやかけが・・・!
降臨するっ・・・!
『ひやかけ(特盛)』
(※ メニューに「特盛」の表記はありませんが、言えば+200円で作ってくれます)
15分後、ついに現れた一年ぶりのまるしん『ひやかけ』
その感動の再会を祝して、竜一。
勝負・・・!
勝負の特盛・・・!
<一年分・・・!喰らい尽くしてやるっ・・・!>
だが、しかし、この時。
私は僅かばかりの違和感を覚えていた。
<これ・・・去年より・・・量・・・増えてないか・・・!?>
↑ 去年のまるしん『ひやかけ(特盛)』
左、2010年版のひやかけ特盛。
右、2011年版のひやかけ特盛。
誰が見ても・・・歴然の差・・・!
圧倒的っ・・・増量・・・!
<こんなに・・・こんなにも・・・増やしていただけて・・・!>
「好きです、まるしん☆」
そして、さらにもうひとつの違和感に気付く。
<生姜が・・・!ワサビに変わっている・・・!>
通常なら生姜農家涙目の展開。
だが、竜一。
意外と気にしない。
「ワサビも、好きです☆」
近年、徐々に細くなって行っている気がするまるしんの麺。
この日は、さらに細く感じたのだけれど、
以前よりモチモチ感は増しているように思った。
静かに麺を確かめたあと・・・!
いざ・・・飲み込んで行く・・・!
出汁・・・!
ひんやり・・・お出汁っ・・・!
あぁっ・・・ああっ・・・!
あぁっ・・・!あぁっ・・・!
氷結ぅぅぅっ・・・!
麺に冷え切った出汁を絡めながら飲む・・・!
ゴクリッ・・・!ゴクリッ・・・!
冷たい感触は喉を伝い・・・落ちる・・・!
胃へ・・・!!
ぷはぁっ・・・!
一年ぶりの冷涼感・・・!
外は茹だるほど暑いが・・・!
今・・・!
俺の体内では・・・紛れも無く・・・!
南極の風が吹きすさんでいるっ・・・!
去年とまったく同じに感じる出汁は、
やはり薄めで、さっぱりタイプ。
個人的には、もう少し出汁が濃くても良いと思うのだけれど、
私の舌が世界基準だと言う訳ではないから、大きなことは言えない。
(エピソード3へ続く・・・!)
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