南国市にある、
韓国料理の人気店、『景福宮(きょんぼっくん)』
私は、まだ香美市にある時代からその存在を知っていながら、
今の今まで行くことが無かった。
韓国料理が嫌いだとかそういうわけではない。
うどん屋巡りが忙しいだけである。
<行きたいうどん屋がいっぱいあって困ってんだよ・・・!>
しかし、ここに来て、景福宮で働く"カドロット"こと、
門田氏とフュージョンをしたりする機会にも恵まれて、
そろそろ行ってみようかなという気にもなってきた。
いや、むしろ猛烈に行きたくなってきた。
<また・・・門田クンと・・・!
したいな・・・!>
フュージョン☆
景福宮までの道のりは険しかった。
山を越え、谷を越え、川を渡り、海を泳いで、
ひたすら目指したが、なかなか着かない。
<はぁ・・・!はぁ・・・!
古文書によると・・・この辺にあるはずなんだけど・・・!
見付からないなぁ・・・!景福宮・・・!>
道端に貼られた・・・景福宮までの道順を示す矢印・・・!
それを頼りに進み・・・やがて達す・・・それらしき場所・・・!
<やや・・・こんなところに景福宮の看板がある・・・!
てことは・・・!近い・・・!
景福宮は恐らくこの辺り・・・!>
看板をよく見ると、「この奥」と書かれていて、その脇に矢印が示されていた。
常人なら・・・矢印通りに進行する展開・・・!
だが・・・竜一の思考は10手先を行く・・・!
<フフッ・・・その手には引っかからねぇ・・・!
俺は・・・!そんなに素直じゃねぇのさ・・・!>
この世の物事には大抵・・・!
表があれば・・・裏がある・・・!
<おそらくこの局面の正解も・・・!裏・・・!
つまり・・・!この矢印はダミー・・・!
おそらく・・・本当に景福宮がある場所は・・・逆・・・!>
矢印の反対側だっ・・・!
竜一・・・!
逆転の発想・・・!
難解だったのは、そこから。
いくら矢印の反対方向に車を走らせても、景福宮は見当たらない。
<な・・・何かが・・・おかしい・・・!
景福宮なんて何処にもねぇ・・・!
まさか・・・!正解は裏の裏で・・・!
矢印に従うべきだったと言うのかっ・・・!>
疑心暗鬼。
迷いに迷った。
気が付くと、『高知大丸』の前まで来ていた。
<ここで聞こう・・・景福宮の場所を・・・!
なにか手掛かりが掴めるかもしれない・・・!>
動く階段に乗って、地下へ降りた。
すると・・・目前・・・!
捜し求めていた漢字三文字が踊る・・・!
景◆福◆宮
なんと・・・景福宮が・・・!
あの景福宮の店舗が・・・!
目の前に現れたのである・・・!
<えええっ・・・衝撃の展開・・・!
ここにあったのか・・・景福宮・・・!>
瞬間。
ピンと来た。
<あぁっ・・・!ここってもしかして・・・!
噂に聞いた景福宮大丸店・・・!>
南国市にある景福宮を目指していたはずなのに、
大丸の景福宮に来てしまうなんて、自分でもすごく不思議な気分だった。
しかし、物は考え様。
<これはもしかしたら・・・運命の悪戯なのかもしれない・・・!
きっと・・・キムチの神様が言っているんだっ・・・!>
まずは景福宮・・・!
その外堀から制圧しろと・・・!
(後編へ続く・・・!)
『もうひとつの景福宮 後編/景福宮大丸店』