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【高知】うどん・そば処「味里」アルデンテの独奏

投稿日:2012.03.31 更新日:

讃岐ほどでは無いにしても、
土佐にもたくさんのうどん屋さんがある。

行きたくても、なかなか行けない店」は多い。

切望する小麦から成りし麺線。

日々の農業との兼ね合いさえ付けば、
スグにでもアクセルを踏み込んで逢いに行きたかった。

コインパーキングに車を停めて、
高知市中心部の静かな裏通りを歩く。

穏やかに吹く風からは、
畑でいる時みたいに土や草の香りはしてこないけれど、
それでも、ゆったりと時が流れる週末のこの界隈の空気感は素敵だ。

「カツカツ」とアスファルトの上で靴を鳴らしながら、のんびりと歩いて到着。

うどん・そば処 味里

『うどん・そば処 味里』

5~6年ぶりだった。
久々に対峙する、味里。

<看板・・・綺麗になってないか・・・?>

遠い記憶と、目の前にある現在を照らし合わせながら呟いた。

<濃紺に白・・・!
いいな・・・この配色っ・・・!>

年季の入った木の戸をソロリとスライドさせて、踏み入る店内。

彼方に霞んでいた記憶よりも一回り小さく映ったその中で、
中年男性ばかり数人が、「ズルズル」と軽快なリズムを刻んで麺をすすっている。

そして、これまた年季が入って、
良い具合にくたびれた深い茶色のカウンターの向こうには、
店の看板と同じ色の服を着たおばちゃんが3人ほど見えた。

カウンター席のみの『味里』
厨房を囲む正面のカウンターは満席に近かったから、
店の周囲の壁に沿って設けられたカウンター席に座る。

目を向けるは、壁に貼られたメニュー。

<以前来た時は、たしか味里名物のカレーうどんを食べたよな・・・
店の記憶はかなり薄くなっていたけれど、カレーうどんの感じはよく覚えている・・・
それだったらカレーの対極・・・あえてのシンプル路線で勝負するか・・・!>

チラリ。
背中側にある厨房に視線をやる。

一番近くにいるおばちゃんの位置、確認。

振り絞る、なけなしの声量!

「す・・・すいませぇ・・・ん・・・!」

だがっ・・・!
おばちゃん反応なしっ・・・!

他二人のおばちゃんも、
コチラを見向きもしてくれず、まったく聞こえていない様子。

<めげるな・・・もう一度・・・!
いけっ・・・腹の底から振り絞れ・・・!
出せば出るさ・・・!圧倒的声量っ・・・!>

自分に言い聞かせて、
再度、発す。

「す・・・す・・・すすすす・・・すいま・・せ・・ぇ・・・ん・・・!」

劣化した。

一発目のほうがまだマシだった・・・!

<くそっ・・・ダメか・・・!
万事休す・・・注文不能っ・・・!>

かなり困っていた私に奇跡が起きたのは、
数秒の間を置いた後だった。

下を向いて何かを作っていたおばちゃんが、
コチラに顔を向けたではないか。

「はぁーい!」

えっ・・・!おばちゃん聞こえてたんやん!反応遅くないか・・・!
いや・・・それか・・・"なにか聞こえた気がする"と思って顔を上げたら、
俺と目が合ったから反応したのか・・・まぁそんなことはいい、とにかく注文・・・!>

この局面・・・重い手は要らない・・・!
軽い手でシンプルに・・・!

「ぶっ・・・ぶっかけ・・・!」


記憶からすっかり消えていた味里のメニューは、
かけ出汁の入ったうどんが殆どだった。

別にかけ出汁が入ったうどんにしても良かったし、
「鍋焼きうどん」なんてメニューは、
味里の雰囲気に良い具合に合いそうだと思った。

けれど、一糸まとわぬ味里の麺線を、
是非この機会に見ておきたい、とも思ったのだ。

テレビから流れるタレントの喋り声、
いなり寿司が乗った皿を、ガラスケースに補充する店のおばちゃん。

暫くして、現れたソレは美しい。

うどん・そば処 味里 ぶっかけ

『ぶっかけ』

モクモクと立ち昇る湯気。

<温デフォか・・・!>

注文時に「温と冷どちらにするか」を聞かれなかったから、
聞かないパターンの多くの店がそうであるように、
冷たいぶっかけが出てくるものだと想定していたが、否。

<夏でも温で来るのかな・・・!
それとも、夏は冷、冬は温、みたいに切り替える方式で、
今は、まだ少し肌寒い時期だから温でやっているのかな・・・!>

思い巡らせながらの麺鑑賞。

うどん・そば処 味里 ぶっかけアップ

<広い・・・幅広・・・!
以前の記憶と同じ!キミは相変わらず平べったいね・・・!>

そんじょそこらには無い、
独特の麺線を目でなぞる。

<綺麗だよ・・・。
前から綺麗だったけれど、今はもっと綺麗だよ!>

そんな風に声をかけてあげると、
白い麺が、わずかに微笑んだ。

味里うどんの耳元でささやく。

<逢いたかった・・・!
俺はキミにずっと逢いたいと思っていたんだ・・・>

うどん・そば処 味里 ぶっかけ 麺アップ

口に運ぶ。麺が触れる。
そしてそのまま噛み込んでゆく・・・!

<ふぁっ・・・!>

"ムチッと浅い部分で反応して、
以後はシコシコとモチモチの中間を通すような、
とにかく他に無い独特の麺食感・・・!"

一瞬漏れた吐息は、小麦に溶けた。

<フフッ・・・俺はキミの名を思い付いたよ・・・!
そうさ・・・キミは味里・・・味里アルデンテさっ・・・!>

独創的。
突き抜けている。

そんな麺とは対照的に、
ぶっかけ出汁は、出汁が前面に出た優しい味わいで、香り高い。

うどん・そば処 味里 寄せうどん

『寄せうどん』

少なくとも高知のうどん店ではあまり聞かないメニュー名。
正体わからぬまま注文したソレは、『五目うどん』みたいに、
"かけ"の上に色々な具が盛られた一杯だった。

作業着姿のおじさんが、
カウンター越しに舌代を払っている。

程無くして私も立ち上がる。

「お・・・お勘定を・・・!」

「はーい!」と言いながら
ニッコリ微笑む、店のおばちゃん。

腹の中で弾んでいる。
味里アルデンテが弾んでいる。

うどん・そば処 味里

◆ うどん・そば処 味里
(高知県高知市本町1丁目6−16)
営業時間/11時~18時(土曜日は15時まで)
定休日/日曜・祝日
営業形態/一般店
駐車場/店の隣に1台、1000円以上の食事で[中の橋駐車場]30分無料券進呈と、張り紙に有り。

(ぶっかけ350円、寄せうどん570円など)
『味里』の場所はココっ・・・!

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竜一

高知で生姜農家を経営しています / 飲食店が好き / 飲食にたずさわる人が好き / 高知のグルメ情報をまとめたサイト「生姜農家の野望Online」を運営中 / 大好きな飲食店を知ってほしくて書いています。

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