職場が山の中だから、「お昼にちょっとうどんでも・・・」
と町まで食べに走っていたら仕事にならないから、
当然、うどんを食べに行くのは、いつも仕事を休んだ日である。
丸一日休みでなくても、
例えば、昼から雨が降って「午後から休もうか」となった日にも行ったりはする。
でも逆に、朝起きて雨が降っているけれども、
昼からは止みそうだから、「午後からは働かないとなぁ」という日に、
うどんを食べに行くことは、なかなか出来ない。
高知には朝から開いているうどん屋さんが少ないからだ。
多くのうどん屋さんの開店時間は、
申し合わせたように11時であり、少し早くても10時30分である。
その時間にうどんを食べに行っていたら、午後の仕事に差支える。
仕事最優先の超絶働き者である私にとって、
うどんのために仕事を犠牲にする、なんてことは絶対にあってはならないことで、
午後から仕事がある際には、うどんを食べに行ったりはしない。
けれども・・・である。「たも屋」である。
高知の「たも屋」は全店が朝8時開店なのである。
それならば、朝食を兼ねて早めにうどんを食べることが出来て、
無論、午後から仕事があっても、何の支障もきたさないのである。
朝たも最強論。
この日も、午後から仕事があったのだけれど、
とにかく朝8時からやっているわけだから、
それはもうゆったりと、とにかく"あくび"でもしながら食べに行った。
『手打ちうどん たも屋 南国店』
本来ならば、8時の開店を店の前で待つ勢いなのだけれど、あんまり朝早く行くのも、
"起きた瞬間からうどんが欲しくて欲しくて辛抱たまらずうどんを食べに来たうどん中毒"
みたいで、なんだか露骨・・・とかなんとかいろいろ考えてしまって、入店したのは10時を過ぎた頃だった。
いわゆる"昼前"の中途半端なこの時間だと、さすがに先客の姿は疎ら。
<閑散だけど・・・チャンスっ・・・!>
今こそ、混んでいる時には、回転を落としちゃうかな・・・
とかなんとかいろいろ考えてしまって、注文しづらいアイツを発注するのだ!
カウンター越し、発する。
小さな声で!大きなうどん!
「か・・・かか・・・釜たま特大でっ・・・!」
すると、男性の店員さん。
数分の時間がかかるという旨を伝えてくる。
しかし、もはやそれすらも計算通り!
<待つさぁ・・・嵐の前の静けさ漂う今なら、何の気兼ねも無く待てる・・・!>
さらに、待っているあいだに
数名の先客が店を後にして、人生初。
たも屋南国店、貸切っ・・・!
窓際のカウンター席で一人、澄ましきった表情で
釜たま完成を待ちながらも、内心、かなり喜んでいた。
<俺だけのたも屋・・・俺だけのたも屋・・・!
俺だけのために働くスタッフたちっ・・・!>
長年、たも屋に通う「たも屋フリーク」としては、まさに夢にまで見た状況っ・・・!
「至福」や「愉悦」という言葉を用いても説明できないほどに感慨深く、堪らないものがあった。
『釜たま(特大) & ゲソ天』
数分後。
呼ばれて受け取ったのは、私のためだけに釜揚げされた一品。
(画像右上、光が反射していて見づらいが、ネギと天カスのあいだに生姜!)
あえて強調しておきたいのは、私は「釜たま」にも「生姜」を入れるという点である。
「たも屋」では、おろし生姜入れ放題だし、入れたほうが味が増えて確実に美味しさアップだし、
絶対に入れたほうが良い。
ここまで「生姜」についてクドクド言うのは、私が生姜農家だから、だ。
<それにしてもキミは綺麗だね・・・!>
などと壮絶に気持ちが悪いことを呟きながら、食べる白い麺。
モッチリシコシコの「たもデンテ」が、お口の中で炸裂する。
<俺のためだけに割られたタマゴ・・・!
俺のためだけに作られた釜たま・・・!>
そんな風に思い詰めながら食べると、天にも昇る気持ちである。
天に昇りながら食べていると、お父さんお母さん子供二人で構成される、
いわゆる"家族連れ"がやってきて、私の後ろのテーブル席に座った。
一人きりで貸切状態だった「たも屋南国店」に、"家族が増えた"。
談笑しながら食べる家族連れ。
黙々と食べる私。
「特大」と言えど、たも屋の特大は知り尽くしているから、
完璧なペース配分により、余裕で完食。
相変わらず、にこやかに食べている家族連れを横目に、
食べ終えた食器を返却して店を出る。
羽織っていたボーダー柄のYシャツが、
裏表反対だったことに気が付いたのは、家に帰り着いてからだった。
◆ 手打ちうどん たも屋 南国店
(高知県南国市明見958-1)
営業時間/8時~14時30分
定休日/無
営業形態/セルフ
駐車場/有
(かけ、ひやひや、しょうゆ、釜たま、釜バターなど)
『手打ちうどんたも屋南国店』の場所はココ・・・!