「如月のチキンナンバンが食べたい」
突然、そんな衝動に駆られて、私は高知では有名な弁当店、「くいしんぼ如月」に来ていた。
如月に来ることは滅多にない。
せっかくだから、たくさん食べたい。
せっかくだから、背中に翼が生えてきても可笑しくないほどの量を食べてみても良いと思えた。
通常の「チキンナンバンBIG大盛」を注文するはずだったのに、
私の口は「セッカクダカーラ」という魔法がかかったみたいに、勝手に動いた。
「スーパーBIGでっ・・・!」
「スーパーBIG」とは・・・!
チキンナンバンが2枚入った「チキンナンバンBIG」の上位弁当で、
チキンナンバンがなんと3枚も入った、十代男子、あるいは体育会系専用ともいえる、
重量級の圧倒的弁当である・・・!
家に帰って、早速、購入したスーパーBIGの蓋を開けた私の前に現れたのは・・・。
350グラムの米と・・・!
鶏っ・・・!鶏っ・・・!鶏っ・・・!
<日頃・・・数々のうどん屋さんで特大、あるいは特盛を喰らい尽くしている俺には、
この程度の量、楽勝・・・!
いやぁ、こんなにいっぱいチキンナンバンが食べれるなんて最高だ・・・!>
などと余裕の体勢だったが、チキンナンバン1枚を残してギブアップ。
量的にはイケる感覚が最後まであったのだが、
オカズか基本的にチキンナンバンしか無いというのが問題で、途中から完全に食べ飽きてしまった。
あんなに食べたかったチキンナンバンを食べ飽きてしまったのだ!
うどんとご飯の違いを知ると共に、
もう自分は三十なのだと自覚した・・・。
(※ 残った1枚は翌日スタッフが美味しくいただきました)