セルフうどん さぬきや 前編/満車の気配

2012.08.08

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セルフうどん さぬきや 前編/満車の気配

2012.08.08

「さぬきや」は唐突に私を襲ってきた。

朝起きて、雨だ。今日は休みだな。
そう思った数時間後には、私は車に乗って、
高知市神田の住宅街を目指していた。

<今すぐに・・・"さぬきや"に行かないと・・・!
行かないといけないんだ・・・!>

これまでに何度か「さぬきや」の前までは、
"偵察"という名目で行ったことがあった。

しかし、それは、あくまで"偵察"なので、
店の中には一度も入ったことがなかった。

入りたいとは思わなかった。
中に入るには、なにか少し、なにか少し背中を押してくれるものがなかったのだ。

けれども、その日は違った。
朝起きたときから、窓の外に雨音の調べを聴いたときから、
このまま「さぬきや」に行かないと、人生の9割を損して終わる気がした。

なぜ、そんな気がしたのかはわからない。
ただ、そんな気がしたのである。

<行かないと・・・!
今日こそ"さぬきや"に行かないと・・・9割損・・・!
ダメっ・・・ダメっ・・・行かなきゃダメっ・・・!>

"さぬきや"に行ってこその、農業界のうどん野郎・・・!

"さぬきや"に行かないうどん野郎は、
ただの農民っ・・・!!

そのとき、突然現れたジーナは、静かに呟いた。

「どうやったらアナタにかけられた、うどんの呪いがとけるのかしらね・・・」
(「紅の豚」ネタである)

時折、強い雨が降ったり止んだりする中、
住宅街を縫う、車がどうにか行き違えるぐらいの細い路地を進行。

やがて、眼前に目的の店が現れた。

セルフうどん さぬきや

『セルフうどん さぬきや』

普段なら避ける12時台に差し掛かってしまったせいもあるのだろうか。
駐車場、ほぼ満車。

わずかに・・・まだ2台分ほど空いていたのは幸運だった。

<危なかった・・・間一髪・・・!
近隣の他店を偵察しているあいだに、もう少しで、満車ノックアウトをくらうところだった・・・!>

私が車を停めて、店に入るまでにも、
他のお客さんの車が続々とやってきて、
当然、駐車場は満車と化し、"待機客"、もとい、"待機カー"まで出始める状況。

<この客入り・・・かなりの戦闘力が予想される・・・!>

出汁を出汁で洗うような闘いが、
幕を開けようとしていた・・・。

(後編へ続く・・・!)
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