「ラストチャンス」 → 『ファミーユ前編』 → 『ファミーユ後編』 → 『シェルター』 → 『モスバーガー』 → 『ぎゅうせん』
アーケード街の光の中を、私は足早に進んでいた。
農作業が終わってからだったので、すでに時刻は20時半にさしかかろうとしていた。
<ドキドキするな・・・!
その前に・・・シラフだから・・・!
大丈夫かな・・・酔った人たちのテンションに付いていけるかな・・・!>
スーツを着た会社帰りのサラリーマン風の人や、
すでにフラフラの千鳥足で蛇行する人たちが歩いている。
ここは高知市帯屋町。
「自転車のアーケード内通行は、やめましょう」でお馴染みの帯屋町。
『Cafe Bar LAST CHANCE』
(カフェ・バー・ラストチャンス)
「ラストチャンス」の戸を開けるのは、人生3度目だった。
・・・考えてみれば正確には初めてかもしれない。
自分の手で戸を開けるのは初めてかもしれない。
これまでの2回は酔っていたし、特に初来店時は、大酔いだった。
とにかくいずれも、お母さん(かえ♪さん)に開けてもらった気がする。
自分の手で開ける「ラストチャンス」の戸は、引くと静かにスーッと開いた。
暗めの照明。
縦に伸びるカウンター席には、手前まで人がいて満席であるように見えた。
<座れるかな・・・!
お母さん・・・どこだろ・・・!>
"お母さん"こと、かえ♪さんの姿を探す。
探していると、奥の方から大きな声が聞こえてきた。
「にゃにょにゃっ・・・!」
<お母さんっ・・・!>
(画像は「ラストチャンス」さんではなく「シェルター」さんでのものですが、細かいことはキニシナイ方向で…!)
座れるかなと心配だったけれど、
お母さんが「にゃんにゃん」言うと、移動して席を空けてくれるお客さんたち。
<ありがたいっ・・・!
優しい・・・ありがたいっ・・・!>
ジントニックで乾杯・・・!
(後述の理由により、自力で盛り直してからの撮影です☆ 写り込んでいるのはお母さんの手です☆)
手作りピクルス・・・!
なんとこれ、お店のお手伝いをされているセ○イヤさんの手作りだという。
<料理上手だというのは、お母さんのブログで知っていたけれど・・・!
それにしてもピクルス作っちゃうのはすごいなぁ・・・これは綺麗に撮らないと・・・!>
農業界のグルメブロガーとして、最高の一枚を撮影しなければならない!
と思いながら、カメラを用意していると・・・。
隣に座っていた知人が、驚くべき速さで手を伸ばして食べた。食べてしまった。
<ちょっ・・・おまっ・・・!
俺が農業そっちのけでブログを書くブロガーやと、アンタ知っとるやろぉっ・・・!
あかーん・・・撮影前に食べたらあかーん・・・撮ってから食べる・・・これは鉄則・・・!>
知人は、とてもお腹が空いていたようである。
あとから聞くと、「空きっ腹にピクルス、これは飢えた狼に生肉みたいなものだよ」
と、わかるようなわからないような解説をしていた。
<ピクルス美味しい・・・!
ブリンブリンしてるっっっ・・・!>
よくあるファストフード店のハンバーガーに挟まっている
ピクルスの味や食感を想像して食べたが、全然違う。
ロックとバラードぐらい違う。
酸味が強すぎるかもしれないという話も出ていたけれど、
私はこれぐらい酸味が効いていたほうが、酒のツマミには良いように思えた。
<早くエンジンをかけなきゃ・・・!
お母さんに追いつかなきゃ・・・!>
お母さんは18時ごろから飲んでいると言っていた。
私がラストチャンスに来たのは20時半ごろ。
つまり私はスタートから2時間半分、遅れをとっている。
追いつくために全力で走る。
しかしお母さんは、馬で言えばディープインパクト。
なにわのディープインパクト・・・!
<ダメっ・・・ダメっ・・・!
ディープ相手に出遅れているこの状況がダメっ・・・!
追いつけない・・・!すでにお母さんは・・・遥か彼方・・・!>
必死で飲んでいると、背後から声がかかる。
「おいっ・・・!生姜・・・!
ファミーユいくぞっ・・・!」
グラスにはまだジントニックが残っていて、
勿体ないので、「いやぁまだ残ってますんで・・・」なんてヘラヘラ笑いながら、
全部飲もうとしていると、業を煮やしたお母さんが凄む。
「おぉいっ・・・!
ファミーユいくのにゃ・・・!」
圧倒的迫力を前に、
私は忠犬のように返事した。
「はいっ!!」
(ファミーユ編へ続く・・・!)
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◆ Cafe Bar LAST CHANCE
(高知県高知市帯屋町2-1-36)
営業時間/18時~24時
定休日/火曜日