お家へ帰ろう。
うどんを食べよう。
<たも屋へ帰って・・・!
俺はうどんを食べる・・・!>
どこのうどん屋でうどんを食べようか、迷ったらたも屋。悩んだらたも屋。
そういう局面、非常に多い。
<たも屋は・・・もはや俺の家・・・!>
お家へ帰ろう。
たも屋へ帰ろう。
私にとって、たも屋は、
お家へ帰るみたいに気軽に行けるうどん屋さんなのである。
『手打ちうどん たも屋 南国店』
おれんち・・・おれんじ・・・。
縁が赤い黒い盆を取って、コップを取る。
給水機から水を汲む。
そして褐色のカウンターに、
盆ごと手を突き、か細い声で発す。
「か・・・釜玉を・・・釜玉をください・・・!」
カウンターの向こうからオバチャンが、
満面の笑みで私に問う。
「大きさはどうしましょう・・・!」
私は意識を失いかけている。
「とと・・・と・・・!特大で・・・!」
うどん中毒の症状が進行するとこんなものだ。
うどんを食べる直前。この瞬間が一番危ない。
欲しすぎて・・・うどんが欲しすぎて・・・
身体は震えるし、眼つきは死んだ魚のようになる。
しかも、釜玉だ。
"かけ"や"ぶっかけ"なら即提供されるが、
「釜揚げ麺」であることが求められる釜玉は、
湯掻きあがるまで、数分の待ち時間が発生する。
<これだけ逝きそうな状況で・・・なにも考えずに思わず釜玉を頼んでしまった・・・!
耐えろ・・・!耐えろっ・・・!あと数分耐えれば・・・賢者タイムっ・・・!>
額や頭皮の毛穴から、脂汗が滴る。
全身が震える・・・寒い・・・。
「釜玉お待ちのお客様ぁ・・・!」
呼ばれた・・・!
<できた・・・できたっ・・・!
俺の釜玉っ・・・釜玉ぁぁぁっ・・・!>
『釜玉(特大)』
受け取った釜玉に、
ネギと、釜玉に合う天カスを大量に盛って、
空いた席に辿り着いたころには、ヘロヘロ。
しかも、あまりにも慌ててうどんを摂取しようとしたために、
カウンターで釜玉用出汁をかけてくるのを忘れてしまった。
<もういい・・・今更カウンターに戻って出汁をかけてくるなんて無理っ・・・!
そんなことをしていたら俺は逝ってしまう・・・!
もうこのまま卓上の醤油・・・!これをかけて喰う・・・喰ってやるっ・・・!>
醤油・・・!
かける・・・釜玉っ・・・!
ドーンっ・・・!!
<やはり釜玉用出汁ほどマッチングが良くないけど・・・!
これはこれで・・・アリッ・・・!>
お家へ帰ろう。
うどんを食べよう。
釜玉から漏れてく白い湯気が、
心の隙間を埋めてゆく。
◆ 手打ちうどん たも屋 南国店
(高知県南国市明見958-1)
営業時間/8時~15時
定休日/無
営業形態/セルフ
駐車場/有
(かけ、ひやひや、しょうゆ、釜たま、釜バターなど)
『手打ちうどんたも屋南国店』の場所はココ・・・!