ジンジャーランドから家へ帰ってきた私は、
風呂に入ってドライヤーで髪を乾かしていた。
<ラーメンにしようか>
私は髪を乾かしながら考えていた。
<もう20時が近いし、いまから行ってたんじゃ、
うどん屋は開いている店がほとんどない>
私は髪を乾かし終えて、ドライヤーの電源を切った。
うるさい音が消えた。静かになった。"しん"とした。
<ラーメンより、なんか肉が食べたい・・・>
と私は思った。<そうだ!あの肉が乗ったごはんを食べに行こう!>
一度ナニカで見かけたその姿は、
私のドコカに強烈な印象を刻んでいた。
そして、その店の場所も名前も、忘れることなく私は記憶していた。
<モンシェルトントン・・・面白い名前だな>
初めての店、それも、うどん屋でもない、ラーメン屋でもない店。
入口の扉を開けて中へ入る。
たくさんの席がある。いったいどこに座ろうかと迷う。
隅の席にした。隅の席に腰を下ろす。やっぱり隅が落ち着く。
私はメニューを開いて「ステーキ丼」
という文字列があるのを確認した。ちゃんとあった。
一応、他のメニューも見てみる。
ステーキ丼を上回る、魅力的なメニューがあるかもしれないからだ。
「土佐赤うし」という文字列もあった。
その攻撃力はかなり高かったけれど、値段もかなりのものだった。
<限度額を超えている>
と私は思った。<やはりステーキ丼より強いヤツはいない>
むしろ、俺はステーキ丼じゃなきゃダメなんだ。
メニューには、200円の追加で頼める「スープ、サラダ付き」
と、300円の追加で頼める「スープ、サラダ、ライス付き」があった。
私は注文するために店員さんを呼んだ。
「ステーキ丼・・・!
えっと・・・それで・・・スープ、サラダ、ライス付き!」
と私は言って店員さんに注文した。
「ら・・・ライスは・・・あの・・・」
女性の店員さんは、Yシャツを裏表反対に着てしまっている人を見つけたみたいな表情を浮かべている。
「あっ・・・!」
私は自分が妙なことを言っているのに気が付いた。そして訂正した。
「いや・・・その・・・スープ、サラダ付きで・・・」
ステーキ丼に、
ライスは付けなくていい。
注文してから、私は店内の照明の具合を確かめたり、
テーブルの木目や艶を確かめたりしていた。
それから椅子の手触りを入念に確かめていたとき、
スープとサラダが現れた。
私は用意されたスプーンを手に取り、スープをすくって飲んだ。
サラダも食べた。野菜、美味しい、と思った。
そして・・・。
キュウリを噛んでいると、
主役が現れた。
<すごい!ジュージュー言ってる!>
鉄板皿の上で湯気を立てて熱気を漂い散らすそれを前に、
私は感激しながらフォークを構えた。
勝った・・・!勝った・・・!
圧倒的・・・勝利ッ・・・!
ごはんをすくって、口へ運ぶ。
ニンニクの香り漂うソースを絡めて。
<ごはん!ふへぇーーー!>
次に肉を。肉を刺す。
刺して口へ運ぶ。運んで噛む!
<肉らしい適度な噛み応え!
噛めば中から味が出る・・・!>
未曾有の豪遊・・・!
それからは、もう止まらなかった。
タガが外れた。一気に全部食べきった。
満足。最高。肉、最高。
「芝エビとベーコンのペペロンチーノ」
◆ モンシェルトントン
(高知県南国市後免町1丁目8−35)
営業時間/10:30~15:00(L.O.14:30)、17:00~21:00(L.O.20:30)
定休日/木曜日(水曜日は夜営業なし)
駐車場/有
「モンシェルトントン」の場所はココ!