くろちゃん食堂 前編/猛獣ハンター

2013.11.25

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くろちゃん食堂 前編/猛獣ハンター

2013.11.25

本当にいるのか・・・!
この高知市中心部の街中に・・・!

イノシシが!


生姜の収穫期を間近に控えた頃。
コインパーキングに高級な軽自動車を停め、降り立った高知市の・・・圧倒的帯屋町。

<何処だ・・・イノシシはいったい何処に・・・!>
いにしえの噂によると、イノシシはこの街の何処かにいるらしい。

「くんくん!」
戌年の私は犬みたいにイノシシの香りを追い、柳町通りに達した。
一軒の店を見つけた。

<きっとここだっ・・・!ここからイノシシの香りがプンプンする・・・!>

いかにもイノシシがいそうな気配。雰囲気。
私はその店に入ろうとした。同時に躊躇もした。

くろちゃん食堂11

『くろちゃん食堂』

店に対する人見知りが尋常じゃない。

<ここ・・・前に『飲んだくれの果て』のお母さんも書いてた店だよね・・・!>

街中を、かなり歩いて疲れていた。
昼時をすぎて、お腹も空いていた。

だがっ・・・!
簡単には入れないっ・・・!

<怖い・・・!
初めての店・・・怖い・・・!>

でも、なけなしの勇気を振り絞るしかない。
お腹はペコペコ。もう歩けない。

恐る恐るの入店。

「いらっしゃい!」
開け放たれたままの戸を潜ると、店のオバチャンが迎えてくれた。

店内、広くない。
テーブルが3卓ほどあるのみ。

勝手がわからない。
空いていた席に、とりあえず腰を下ろす。

オバチャンが持って来てくれた・・・。

くろちゃん食堂1

冷茶。

くろちゃん食堂7

さらにオバチャンは、ペットボトルに入ったお茶を置いていった。

お茶のおかわりは、これっ!そういうことか!>
私は嬉々とした。<この感じ・・・雰囲気・・・料理を食べる前から味があるぞっ・・・くろちゃん・・・!>

くろちゃん食堂10

店内を眺める。
壁に貼られたメニュー。
『いのしし鍋焼ラーメン』に目が留まる。

背筋に走る、電流。

<やっぱりいたんだ・・・!
この高知市中心部!帯屋町・・・!
柳町通りに・・・!>

イノシシがっ!

"いにしえの噂"は証明された。
「柳町のイノシシ」は、たしかに存在していた。

感動の涙が、ナイアガラみたいに溢れ・・・はしない。
早速、オバチャンに『いのしし鍋焼ラーメン』を注文した。

くろちゃん食堂2

ふと右。
壁際を見ると『飲んだくれの果て』のお母さんのブログにも登場していたリサイクルボックスが、チューブワサビや七味唐辛子などを携え、壁にかかっていた。

元々チューブワサビなどが入っていた箱を、切って画鋲で壁に貼り付け、ケースとして再利用しているのである。

<なるほど・・・こうすれば空間を有効活用でき・・・なおかつゴミが少し減るっ・・・くろちゃん・・・賢いっ・・・!>

さらに後ろを振り返る。
そこには「食堂」ならではのものが鎮座。

冷蔵庫の中でラップを被り・・・!
今や遅しと客のシェイクハンドを待つ・・・!

くろちゃん食堂9

圧倒的・・・!
惣菜群っ・・・!

刺身や煮物、和え物などがいる。
取ろうかと迷った。
でも私は取らなかった。

<今日のターゲットは・・・とにかくイノシシ・・・!未曾有のイノシシ鍋焼きラーメン・・・!その全容がわからない中・・・!他を食べて消耗するのは危険・・・!相手は猛獣・イノシシなんだ・・・!>

(後編へ続く)
二十数日振りのグルメネタよ!
『後編を読む』