全国的にあるのか、それとも高知だけなのか四国だけなのかわからない。わからないけれど、とにかく高知にはある。
雪、あるいは白熊のように白いラーメンが。
その白いラーメンを、人々は呼ぶ。
『マヨネーズラーメン』と…!
<白いっ…それにしても白いっ…!抜群の白さっ…!ありがたいっ…!ありがたい白さっ…!>
一面、本当に白い。
かつてこれほど白いラーメンがあっただろうか。
私はコンマ5秒で否定する。
「ない…!」
これほど白いラーメンなど、他にあるわけがないのだ。
大体これほど白いと、人によっては雪と間違えて滑りかねない。
スノーボードとか持ってきて、滑りかねない。
この白さ…!絶対的っ…!!
むしろ、洗濯前の白熊よりも白い。
そんなことを高知市繁華街、グリーンロードの屋台『昴』で考えていた。
日付けなんか思いっきり変わっていた。
いまが何時だか確認する気にもならない。
いま何時かと訊かれたら「ハナヂ、デンプン、ガビョー」と無邪気な小学生のように答えてやる。
きっとそのほうが僕たちは幸せになれる。
酔っていた。
酔っていたが酩酊まではイッていなかった。
目の前の風景が、ゆっくりグルグル回っているだけだった。
いったい何がいけなかったのだろう。
きっといけないことなんて何もなかったんだ。
ただ少し、あっちゃんにテキーラを盛られすぎただけだ。
まぁ…!白いっ…!
それにしてもマヨネーズラーメンは白かった。
北極と南極、どっちでもいいような白い世界の上に、ネギの緑が映える。
オアシスだ。
ネギはオアシスだ。
「白銀のオアシス」
などと、わりとわけのわからないことを思いながら、ふと辺りを見回すと店主がいた。
屋台『昴』名物のコワモテ大将だ。
でも見た目はイカツイが、すごく優しくていい人だと、私は知っている。
だから心の98%ぐらいしか、ビビらない。
大将と目が合うと、大将はコワモテを崩し、ニッコリと微笑んでくれた。
<おおお…俺のこと…覚えてくれているのですね…!>
嬉しかった。私が女性だったら惚れている。むしろ私、男だけど、いいだろうか。ぇ
あぁっ……!
それにしても白い…!!
と言いたいところだったが、さすがに麺は白くなかった。
<うめぇー!マヨネーズラーメンうめぇー!カロリー高そうだけど…そんなこと…いまはどうでもいい…明日畑で無駄に動けばいい…!あぁっ…食べてるときが一番幸せっ……!>
麺を食べきったあと、丼の中に残ったのはスープだけ。
白いよ…それにしても白い…!
この白さ…!ウチの冷蔵庫みたいだ…!!