『EP1を読む』
高知が誇る弁当チェーン
『くいしんぼ如月』
その自動ドアをオドオドくぐる。
<俺はここで弁当を…弁当を買わなければならないっ…!>
弁当を持って行くんだ…!
ピクニックにっ…!!
そんな軽い気持ちで入った「如月」
店内でとんでもないものを見つける。
壁に貼られた画像付きの紙。
そこにはこう書かれていた。
『期間限定!釜玉うどん!』
限定……!
うどん……!
釜玉っ…!!
ピクニックしている場合じゃない…!
いますぐ買って帰って食べなきゃ…!
如月の…!
限定…限定…!
限定釜玉をっ…!
(この物語は、卵に目覚めた農民・竜一が卵を次から次へと割っていく、歴史的感動サスペンスである!)
未曾有の釜玉が、ウチにやってきた。
容器の蓋にちゃんと「かま玉」とボールペンで書いてある。その書体が堪らない。
ラップを輪ゴムでとめた中蓋。昔からやっている、如月の伝統工芸だ。
伝統工芸を外すと飛び出す、新世界。
圧倒的…如月っ…!
黄色いぞ!黄色いぞ!くいしんぼ!
麺上に、おろし生姜。
<解ってる…!さすがだ…さすがは如月先生っ…!>
美しい…!これはもはや釜玉じゃない…月だ…新世界からの月世界だっ…!
いざ、月面着陸。
ありがたいっ…!
ありがたいっ…!
着陸、成功!
俺こそがアームストロングー!
だが、そのとき気づく。
<あら…これ結構…汁が多い…!>
通常よくある釜玉うどんは、麺に卵を絡めて、出汁を軽くかけていただくスタイルだと思う。
しかし、如月の釜玉。
出汁を軽くかけたという次元ではない。
いわゆる"ツユダク"の状態。
さらに如月の釜玉で気が付いたのは、卵の固まりかた。
卵の固まりが、とってもいい感じ。
やはり並の弁当屋ではない。
<何かが違う釜玉…!ツユダクだからそう感じるのかっ…!?…でもコイツは間違いなく釜玉…!>
白鵬が不知火型…!
朝青龍が雲龍型…!
ならばこれは…!
如月流型・釜玉…!
空前絶後の横綱…!
くいしんぼ土俵入りだ…!
『うどん』
返す刀で、ノーマルうどんもいただく。
「如月」に昔からあるメニューだ。
蓋には何も書かれていない。
びよーーーん。
(EP3に続く!)
『EP3を読む』