――2015年2月。
嫁の実家にて。
「明日、香川に
うどん食べに行くが」
コタツ机を挟んだ正面にいるお父さんに、
満面の笑みを浮かべ、そう言う嫁。
「行きやー」
お父さんの隣で聞いていた、
お母さんが言った。
「へぇー」
と、お父さんは微笑を浮かべている。
両親とも、明らかに娘と婿、
2人で行くものだと思っている。
そのとき竜一。
嫁の耳元に顔を近づけ、
小声で囁いた。
「一緒に行こう!って言って!」
「お父さんとお母さんも一緒に行く?」
猫なで声で誘う嫁。
するとお父さん。
「んー。まぁ行ってもえいけんど」
キタコレ!
<やった……!>
竜一、ガッツポーズ。心の中で。
ありがたいことに、竜一。
嫁の両親と仲がいい。
結婚前からこの1年、毎週のように、
嫁の実家で晩ご飯をご馳走になる有様。
晩ご飯どころか、
朝ご飯までご馳走になることもしばしば。
本当にありがたい。
だが最近思っていた。
まだ一緒に
遠出をしたことはない。
遠出がしたい。
お父ちゃんとお母ちゃんと一緒に、
どっか遠いところに行きたい!
そうだ!うどんだ!
両親共々、
ラーメンよりうどん派だと、
以前言っていた。
僕たちは、みんな
うどんが好きなんだ!
よし!行こう!
みんなでうどんを
食べに行こう!
みんなでしようよ、
ハシゴうどん!
『第1話-2を読む』