『第8話を読む』
※ 『第2話』で訪れた「津島しらうお&産業まつり」
1年後の今年、2015年にまた行きました。そのときの話です。
車を運転して走っていると、
薄っすらと記憶が蘇ってきた。
「あっ!なんかここ覚えちゅう」
なおも私は西進する。
車で、
ブンブゥゥゥン!
Be a driver.
やがて達した、あの河原。
「今年もやりゆう!」
車窓から見えた『牛鬼』に感激。
『津島しらうお&産業まつり』
津島小学校の校庭に設けられた
臨時駐車場に車を停め、
会場へ続く橋を渡る。
「しらうお漁体験、まだやってるかな…」
橋を境に、左側の河原に出店が並び、
右側の河原で、しらうお漁が体験できるイベントをしている。
去年できなかった、しらうお漁体験。
今年はゼツタイにやらなくてはならない。
手元から落ちたポテチみたいに、
舞い降りた河原。
そこが、
しらうお漁体験現場。
「やるが?」
嫁が訊いてきた。
「やる……!」
私の決意は、フライパンみたいに固い。
しかし、初めてのしらうお漁体験だ。
いったい、
どうすればいいのか
わからないよ。
「船が浮かびゆうけど、あれに乗って、
しらうおを捕るがやろうかね?」
川の中に入り、
しらうお漁体験をする子供たちを遠目に見る。
暗い表情をしていると不審者と間違われかねないので、
アソパソマソみたいな満面の笑みを浮かべて見た。
見ていてわかった。
どうやら船には乗らないようだ。
「川の中にある丸い囲いみたいなのの中に
しらうおが集められちょって、
それを捕る感じ?わからんけど」
しばらく無言で考えた。
結論、出た。
「やっぱ俺ええわ」
「え?やっちょかんでかまんが?」
「うん…。だってやりゆうがぁ、
子供ばっかりやもん……」
それに、防水のツナギみたいなものに
着替える必要があるようで、
時間がかかりそうだった。
すでに時刻は13時半。
あまりここで時間をかけていると、
15時まで開催される祭りが終わってしまう。
川の水は去年よりも透明度が高く見える。
しらうお漁はヤメだ!
「だってもう時間がない……!
楽しみにしちょったマグロの解体ショーも
もう終わっちゅうがで……!」
漁はどっかの子供たちに任せた!
俺は食べる係に専念する!
(つづく)
『第10話を読む』