『まるきちうどん』
有名な「がっかり名所・はりまや橋」から徒歩1分。
高知市の中心部にあるうどん屋さん。
<どこだ……券売機は………!>
事前の調査で食券制だということは折込済み。
入口を入って、すぐのところに券売機はない。
細長い店内の中央に厨房がある。
そこに向かってフラフラ。
<あった…………!
俺の券売機がそこに……!>
竜一…開始早々……!
券売機をツモ和了……!
店側に教えてもらわずとも、
自分で引いてくるこの嗅覚。
だが、本当の勝負はここから……。
数種類のうどんにご飯もの。
さらに、うどんとご飯もののセットから
一つ選んで切らなければならない。
<農家が言うことじゃないかもしれないが…
生憎……米の気分じゃない………!
なぜならいま俺はうどんを食べにここに来ている…>
ククク…………!
言うまでもなく……
うどんとご飯は似て非なるもの……
ハッキリ言えばうどんであることにまだ意味はない…
意味は食べ終わったときに初めて生じてくる……
うどんを食べたい……
ただそう思う………
それが依存症の本質……
うどんの快感………
うどんの麺線に身をゆだねてこそ中毒…
やめられねぇんだ………!
ラーメンのスープを全部飲むことと……
うどんを最後のネギ1カケまで喰らい尽くすことだけは!
竜一…!打……!
券売機のボタンを押す……!
圧迫っ………!
ボタンを押し潰すっ……!!
捻り潰す勢いっ…!!!
<迷いはない………!
これしかない……打つならこれしか……!>
バシューンッッッ……!
ボタンを押すと同時に……!
チャリンチャリン………!
飛び出すお金………!
おつり………!!!
そして…ヒラリ………!
落ちる……食券っ………!
吐き出せっ……!
悪魔めっ………!!
悪魔と化した券売機が吐き出した食券を……!
竜一…………!
ロンッロンッロンッ!
ロロロローンッ……!
これですでに2勝。
2連勝………!
カウンターの中にいる店のお姉さんに、
点棒と同じ価値を持つ、食券を差し出す。
開始早々の竜一の連勝。
大量得点に驚いたのか、お姉さん。
「少しお待ちください」と言う。
<間を置いても無駄………!
お姉さんは必ず吐き出す……!
俺のロン牌を…………>
そのとき突然…悪徳刑事が現れる。
「なぜそんなことがわかるんだ竜一……!」
<みんなにはわからないかもしれないが…
感じるんだ……!勝負の綾………
潮流みたいなものを………!>
それが感じられるくらいの嗅覚がなかったら…
とてもじゃないが…いままでやってこられなかった…。
いったいなにを言っているんだ。
という表情で瞳孔を開き、悪徳刑事も聞き入っている。
竜一がカウンターに伏せた食券……!
そこに書かれていたロン牌…いいやロン杯…!
店側…………!
当然のようにそれに振り込んでしまう…!!
食券に書かれていたものと…!
同じうどん杯を………………!!
『大阪名物かすうどん』…!!
見えない………!
ネギ!ワカメ!天カス!油カス!
カスと薬味で出汁の上を席巻……!
うどんが見えない…………!
「なにを安心しているんだ竜一!」
「…………!」
「聞こえなかったのか……
なにを安心しているんだ竜一…!
ワシじゃよ…かすうどんじゃよ……」
ついに………!
かすうどんが喋り始めた…!
「かすうどんのカスとは……
牛の腸を油で揚げたものじゃ……
お主にこの攻撃…わしの攻撃が交わせるかな…」
なにっ………!
カスがカリカリだっ……!!
クニュクニュの麺。
カスとの食感の対比。
発揮っ………!
かすうどん…ならではの……!
むしろ…かすうどんにしか達成できない攻撃力!
口の中がいい感じで油田……!
油塗れの1歩手前………!
定番の天ぷらで言うと……
ナス天くらいの感覚っ………!!
油ってどうしてこんなに
美味しいんだろう…。
あっさりした
かけ出汁にカスの油が溶け出す。
だがしかし、その油。
かけ出汁を壊さず、融合。
出汁と油が団結して、さらなる高みへ上昇。
油………!
油の極限っ!世界観……!
油カダブラ……!!!
油も出汁も………!
何もかも飲みおおして……!
終わった。
(高知にもっと『かすうどん』広まればいいのにねっ…!!)
◆ まるきちうどん
(高知県高知市南はりまや町1‐8‐1)
営業時間/10:00~20:00(情報が古いので要確認!)
定休日/無
駐車場/店舗上に立体駐車場・有