5月某日。13時すぎ。
高知市鴨部――――。
『孫悟空』
初めての悟空……!
ラーメンの悟空……!
<名前がいいな………!
悟空といえば俺の中では……
西遊記よりもドラゴンボールだが…>
暖簾をくぐる。
カウンター席が5~7席ほど。
テーブル席が3卓ある。
<事前の情報は
あえてほとんど入れてきていない…!
先入観を持ちたくなかったってのもあるが…
対局が決まった機会があまりに直前だった…!>
いきなりの対面……
いきなりのサシ勝負は危険……!
今回は様子を見ながらの打ち回し…それがベター!
素早い危機回避。
歴戦で鍛えられた判断力。
竜一、カウンター席を避けてテーブル席へ。
東1局。
<結構数が多いな…ラーメンだけにするか…
ラーメンとご飯もののセットにするか……>
とりあえずラーメンは絶対に食べる…!
とにかくラーメンの決定が先………!
<通常は店の名を冠していて……
尚且つメニューの筆頭に記載されている『悟空麺』…!
その辺りに狙いをつけるのが定石……!>
しかし……!
<悟空麺がどんなラーメンかも知らないが…
いま俺は悟空麺の気分じゃない………!
どちらかといえば『雲呑麺(ワンタンメン)』が食べたい!>
ご飯も何もいらない……!
ワンタンメンをガバガバ食べたいっ…!!
おおよそ注文を決めた、そのとき…!
見つける……!
とある表記をっ……!!
なんと………!
麺が選べるのか……!
細麺…太麺…翡翠麺……!
って…………!
翡翠麺っ……?
一気に色めき立つ場の空気。
<だったら翡翠麺にしたい……!
この麺……他じゃ食べられないっ……!>
注文ののち…しばらく待つ………!
待って出てきた……それっ………!
『雲呑麺(ワンタンメン) 大盛』
中央にワンタンがドガッ……!!
キャベツだとっ…!?
<そしてコーン……!
旭軒にも似た仕様……!>
コイツが噂の翡翠麺…!!
注目の麺……!
緑っ……!緑色っ……!!
<平打ちになってんだな……>
麺に醤油味のスープがのり……
麺と共に胃に流れ込んでくるっ……!
<若干強い塩分………!
その塩分がスープのボディを強化……!>
私はワンタンメンですっ…!
そう強烈に主張している……!
翡翠麺に練りこまれているのは、
どうやら、ホウレンソウ。
しかし翡翠麺は、
私はホウレンソウですっ…!
とは言わない。
<やはりラーメンの主役はスープ……!
主役を引き立てるための…この翡翠麺の自重心!>
我が!我が!とシャシャリ出るばかりじゃダメ…!
時には一歩引くことも大事……!
ヘタすると翡翠麺は……
そんじょそこらの人間よりも……
よっぽど社会を熟知している……!
もはや人生の先輩………!
翡翠先輩っ……!!
考えてもみろ………!
俺たちは翡翠麺みたいに
ならなきゃいけないんだ…!
翡翠麺にならずして……
何になろうと言うのか……!
弟子入り………!
翡翠麺に…弟子入り決定……!!
そのとき翡翠麺が喋る………!
「まずは世界に散らばる
7つの翡翠を集めるんじゃ…!
話はそれからだよ…はっはっはっ…!」
『担々麺』
(胡麻感強め!
麺を指定しなかったら細麺だった)
◆ 孫悟空
(高知県高知市鴨部2丁目3-22 鴨部ハイツ1F)
営業時間/11:00~14:30、17:00~22:00
定休日/月曜日
駐車場/有