交通量の多い幹線道路沿いにあるのに、
店の周りは木々に囲まれていて、
ここだけ空気が違っているように思えた。
『レストラン ネレウス』
黒豚五目拉麺……!
あるいは……!
シャレ乙…グラタン……!
オムライスもいいなぁ……。
午後3時が近かった。
昼食どきを大きくすぎた時間。
しかし店内は満席。
暗めの照明。
北側の窓辺がぼんやり明るい。
<あまりガッツリ食べると…晩ごはんに響く……!
軽めのものがいいけれど………んんーーー>
3つの候補の中から、
グラタンが真っ先に消えた。
<グラタンは…いささか可愛らしすぎる……!
どちらかというと…殴り合いみたいなのがいいっ…!>
ラーメンか。
オムライスか。
<店自体は…わりとオムライス推しな雰囲気……!>
長考。
どうしよう………!
オムライスにするか……!
ラーメンにするか………!
考えた。考えた。
考えに考えた。
じわり。
出る、結論。
オムライスでもいいんだよ……!
オムライスでもいいんだよ………!
オムライスでもまったく構わないんだよっ…!
でもやっぱり………!
ラーメンが…いいっ……!!!
『黒豚五目拉麺』
想像よりも大きい器。
並々と注がれたスープ。
その直径、まさに琵琶湖。
ご飯物とのセットもあったけれど単品にした。
晩ごはんへの影響と、カロリー的な問題で、
自分が黒豚そのものになってしまう可能性に
配慮してのことだった。
野菜たっぷり。
白菜やニンジン、キクラゲなどが入って
幾分、中華な様相。
思わず口調が、
気のいいお婆ちゃんになってしまう。
<いくら農家とはいってもねぇ……
普段…休みのたびに…うどんとか……
うどんとかうどんとか食べてるでしょう…>
野菜が不足しちゃうのよ……。
<それに…アタシ……
葉っぱ系の農家じゃないしねぇ…
専門は生姜だしねぇ………・>
生姜農家っつてもさぁ………
生姜ばっかり食べられないわよ!(゚Д゚)
<そんなことを人に話したらさぁ……
「だったら小麦を栽培して自分でうどん打っちゃいなよ」
みたいなこと言われるのよ……>
アホかと!(゚Д゚)
どんだけメンドイねん!と。
<大体アタシ小麦栽培もメンドイけど、
うどん打ったりすること自体もメンドイのよ!>
それだったら上手な人が打ったうどんを
お金出して食べるほうが楽でいいじゃない!
「アタシは生姜農家です!
小麦は作らないし、うどんは打ちません!」
(なんの宣言や)