台風うどん 「手打ちうどん田吾作」

2015.07.17

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台風うどん 「手打ちうどん田吾作」

2015.07.17

連日、19時半くらいまで働いていた。
台風が僕たちを急き立てていた……。

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朝。畑。
杭を打つ。

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台風11号が、土佐湾沖、
もう間近に迫っていた。

それなのに白い雲の切れ間から
青色も覗く空。

一人、杭を並べて打つ。

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やがて大粒の水滴が落ちてきた。
一時、車内に避難。

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スマホで上空の雨雲の状態を確認して、
合羽(かっぱ)を着るか否か判断する。

<まだ着なくても大丈夫そうだな……>

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一旦、雲が切れて雨は止んだ。

オビ=ワンとオバ=アも合流し、
総出で作業にあたる。

私はひたすら杭を並べて打ち、
オビ=ワンとオバ=アはひたすら網をかけた。

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昼過ぎまでかかって、
すべての畑に網を張り終える。
のべ3日かかった。

「家へ帰ってもなんちゃあない言うき、
昼飯ラーメンでも食べに行くか?
おまん、なんかえい店知っちゅうろう」

オビ=ワンにそう言われて、
頭の中でラーメン店を検索したけれど、
……いわゆる年寄り向けの店がHITしない。

「ラーメン屋……
あんまり落ち着いて食べれる店がないで…」

じつの祖父が相手でも"年寄り向けの店"
という言葉をオブラートに包んで言い換える、
世界屈指の気遣いができる優しい男、竜一。

きっと全世界の老人が、
こんな孫欲しい!と思うことだろう。

「そんなに騒々しい店ばっかりかや?」

都合の悪い質問は無視して考える。

年寄りでも落ち着いて食べられる
ゆったりした雰囲気の店がどこかにないものか…。

「あぁ…うどんでもかまんかえ?」

田吾作1

『手打ちうどん 田吾作』

14時が近かったけれど、店内ほぼ満席。
終業式帰りと思われる家族連れが多い。

座敷が1卓だけ空いていたので、そこへ。

メニューを見るなり、
「オラぁ、これ!」と指差すオビ=ワン。

『すき焼き風肉鍋うどん』……!?
890円もするじゃないか………!

「い…一番高いがにするかえ……!?」

「おう、一番高いがにする」

ブルジョアか!あんたは!
890円のうどんなんて、貴族のうどんだぞっ!

オバ=アは………!?

「アタシこの鍋焼きうどんいうがにしよう」

このクソ暑いときに、鍋焼き……!

そのときオビ=ワン。
「なんか、ごはんものはないがかや。
おお……ちらし寿司がある………」

瞬間、店のお姉さん。
「すいません!今日お寿司売り切れました!
白ごはんやったらあるんですけど……」

「ほいたら、それ貰おうか」

「そんなによう食べるかえ……!
うどん結構、ドォーン!ってくるでぇ?」

私の言葉にオバ=アも賛同。
「オジイさん、よう食べるかえ?」

「食べいでか……!
おお、それとお姉ちゃん、
ここにはビールいうものはないかえ?」

ビール………?

いまこの人なんて言うた?

ビール…………?

昼間っからビール………?

「缶でよかったらありますけど」

あるんかえ…!
田吾作っ………!

一人、手酌でビールを飲み始めるオビ=ワン。

<絶対に注いでなんかやるものか…!>
運転手…孫……隣で冷水ガブ飲み……!

高級うどんの発注、
白いうどんに白ごはん、炭水化物に炭水化物、
うどん屋でビール。昼間からアルコール。

私の中にはない発想が次から次へ飛び出し、
軽いカルチャーショックを受ける。

この不良老人めっ!不良老人めっ…!

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不良老人の奢りだということで、
私はいままで注文したことのなかった、
上流階級向け『特上天ぷらうどん』(720円)

(今回スマホにて撮影です)

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「ここは、竜一の行きつけか?」
そう訊くオビ=ワン。はぐらかす孫。

「いや、1回か2回くらい
来たことあるけど、あんまり知らん」

本当は、もう何回来たのかわからないよ…。

「ブログいうもん、まだやりゆうか」

「いや、あんまりやりやあせん」

本当は、毎日頑張って更新しているよ…。
1円にもならないけどね………。

ちなみにこの会話も……
明日には世界配信さ………。

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午後、雨脚が強まる中、
合羽を着て防風ネットを張る。

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今日も19時半。
汗と油と泥にまみれて帰宅。
予定していた台風対策はすべてできた。

台風は夜中に高知の上空を通過するらしい。

これで明日の朝、
なにかが起こっていたら、もうどうしようもない。

「こればっかりは博打みたいなもん。
なんぼ用意したち、打ってみにゃわからん」

生姜を60年ほど、
半世紀以上にわたって栽培している男の言葉である。

↓ 台風三昧の一週間でした。