高知市大津、『中華そば平八』
(※店舗画像は退店後に撮影しています)
裏手に回り込んで車を停めた。裏口がある。中に入れそうだ、ここからも。
小上がりに座って眺めるメニュー。『PM2:00オーダーストップ』とある。時刻を確認。まさに午後二時ちょうど。しかしギリギリセーフ。大丈夫。そんな雰囲気。
店名には『中華そば』と付いている。しかし聞いた話では豚骨ラーメンが美味しいらしい。そこで『とんこつ』を注文。
クリーム色のスープ。ネギが載り、キクラゲが載り、紅生姜が載る。脇にチャーシューと煮卵。
しっかりした弾力、ゴマと共に口の中で弾ける真っ直ぐな麺。
デフォで唐揚げが付いている。どういう理由で付いているのかはわからない。
その衣、カリカリ。噛むと中から脂。脂が溢れ出る。豚と鶏の共演。
当然のことながら鶏が全力で羽ばたいてくる唐揚げ。対照的に豚骨スープは豚の雰囲気控え目。豚臭さなどは感じない。
中学生の頃、一人で参加したツアーで福岡県に行ったことがある。ツアーで知り合った須崎市在住の母と息子と一緒に、夜の屋台街で本場博多の豚骨ラーメンを食べた。その味をいまでも覚えている。
当時の高知には豚骨ラーメン店が少なく、豚の香りが強烈なそのラーメンに驚きはしたが、とにかくすこぶる美味かった。豚の臭さがまた良かった。臭いさえも旨味だったのだ。
以後、豚骨ラーメンに完全にハマってしまい、高知に帰ってからはインスタントの豚骨ラーメンをよく食べていた。学校で好きなラーメンの味は何かという話になると、豚骨だと迷わず答えていた。
しかし以前、高知の某所で食べたラーメンは圧巻の臭さだった。食べると臭いが口の中に広がり、胃に収めると体内から異臭が込み上げた。あまりの臭さに反射的に鼻をつまむと、体内にこもった臭いが毛穴から出てくる感覚に襲われた。それほど臭かった。
そのとき初めて思った。臭い、臭いのがいい、とはいえ臭すぎるのは考えものだと。
あれが豚十頭分だとすると、『平八』の豚骨ラーメンは豚一頭分くらい。いうなれば、豚と人のタイマン。一対一の対決。
勝つのは豚か、人か。
どっちだろう。