かつて高知に『けつねうどん』の屋号で、うどんを提供する店が数店あった。
有名なのは高知市堺町にあった「堀詰店(ほりづめてん)」だが、数年前に閉店してしまった。
私が子供の頃には、高知市から安芸市方面に続く国道55号線沿いにも存在していた気がするが、記憶が定かではない。
現存する高知の『けつねうどん』は、高知市鴨部にある「土佐道路店」と、高知市五台山(ごだいさん)にある「五台山店」のみとなっている。
十数年前、酒を覚えたての私は、堺町の『けつねうどん』で飲みに行く前の腹ごしらえをよくしていた。
懐かしい。数千日の昔だが、思い起こせば蘇る日々。
『けつねうどん 五台山店』に行くのは、私にとって時間を巻き戻す行為だった。
「けつねうどん」とは
『けつねうどん』の屋号を見聞きして、ほとんどのかたが疑問を持つであろう「"けつねうどん"とは何か」。
「ウィキペディア」によると、
「けつねうどん」とは、かつて京都や……とくに大阪で「きつねうどん」の意として、親愛をこめてジョークのノリで、わざとそう呼んでいたものとのこと。

ハワイのことを、ワイハ。
寿司のことを、シースーみたいなものかな……。
十数年ぶりのけつねうどん「けつねうどん五台山店」に入店!
▲ 近年、改装されて綺麗になっている「けつねうどん五台山店」の店舗。
「堺町にあった店舗とか、すきま風が入ってくる勢いだったし、この五台山の店舗も改装前は台風が来たら飛びそうな店構えだったのに、ずいぶん立派になったものだな……」
失礼なことを言う竜一。
(ごめんなさい。誉め言葉です)
「けつねうどん五台山店」の店内
カウンター席と4人掛けのテーブル席で構成される『けつねうどん五台山店』の店内。座敷はない。(ある模様)
「けつねうどん五台山店」のメニュー
「うどん」それだけじゃない、けつねうどん。
うどんもあれば、「そば」もあるメニュー構成。
「そばも食べられるなんて、至れり尽くせりだ……」
そのとき竜一、発見。
「おお……。きつねうどんを、普通に"きつねうどん"と書いてしまっている……!」
そこは「けつね」じゃないんですかっ!
などと、ツッコミを入れたくなる仕様。
▲ カレーライスなど、ごはんものも充実。「ぶっかけめし」は、ごはんにかけ出汁をかけたものとのこと。
メニューの中では、明らかに「どて煮込み」を推している雰囲気。
「どて煮込み丼とか、絶対うまいやつだ……」
がっ。このあともまだまだ食べ歩く予定の竜一。どて煮込み丼を自重。
悩んだが……。
「俺と、けつねうどん。十数年ぶりの再会を勝手に祝して、今回は豪勢にいこう……」
そんなわけで「大海老」と書かれた「天ぷらうどん」を選択。
「うどんは太麺に変更可能」とあったが……。
「けつねうどんと言えば、あの細麺だろう……!」
あえて変更せず。
「大海老 天ぷらうどん」角がなく丸い麺!コシもないが、これがおいしい!
でっかっっっ!
ドンブリから、はみ出るほど大きなエビ天がのったうどん。
戦闘力20万!空母みたいなエビがのる!圧巻のド迫力!
「作るのを見ていたら、生のブラックタイガーを目の前で揚げていたからな!エビが大きすぎて重いのか、店主さんがエビを持つ手も震える勢いだった……!」
ヤヴぁっ!
「エビ!ヤヴァっ……!」
すごい弾力……!
「昔の綿布団みたいに、ガッチガチ!」
圧倒的反発力……!
エビが俺を襲ってくる……!
「エビ!ヤヴァい!」
エビが…ヤヴァンゲリオン……!
「けつねうどん」ならではの、細くて丸い麺。
見よ!この丸さ!
これが「けつねうどん」だ!
「コシなんかまったくない!ふにゃっふにゃの麺!」
だが、これがいい。
「最近の"高知うどん"は、昔の高知うどんではない。讃岐をしのぐほど麺にコシのあるうどん屋さんが多い。そんな中、けつねうどん……」
全然コシがない!
「コシ、なんですかそれは?」そんな姿勢!
「十数年前に起きた、讃岐うどんブーム以来、コシ至上主義のお店が増えて、現在は喉越し至上主義みたいな風潮がある中で、コシとか喉越しとかそういうのじゃなくて、単純にやわらかいブヤブヤしたうどんが好きという層は年配のかたを中心に間違いなくいる。そういった層にウケるうどんだ……」
昭和の高知うどんを現代に語り継ぐ「けつねうどん」。高知の名店である。
「けつねうどん五台山店」の所在地、営業時間、定休日、駐車場
所在地/高知県高知市五台山4−4(地図)
営業時間/10:00~20:30(日曜祝日は17時まで)
定休日/木曜日
駐車場/有
一人行きやすさ/◎ カウンター席あり。一人客多い印象。
子連れ行きやすさ/○ 座敷ある模様!