「かいさま寿司」と呼ばれる寿司がある。
かいさま寿司の「かいさま」とは、高知の方言、土佐弁で「さかさま(逆さま)」の意味。
一般的には皮面を上にして作られることの多い、サバの寿司やタチウオの寿司を「かいさま」に。その名の通り「逆さま」にして作られた寿司。
▼ それがこちら。
サバの棒寿司なのだが、サバの皮面を下に。酢飯の側に引っ付けて作ってある。
元々は、魚の皮面を見せたくない、ということから始まった寿司の作り方だという。
マイナーではあるけれども、高知県の郷土料理のひとつと言っていいはずの「かいさま寿司」。
しかし個人的な印象だが、高知市より東ではそれほど多く見かけない気がする。
画像を先述した、高知市上町にある『丸池寿司』のサバ寿司など、"姿寿司"はもちろん皮面を上に向けるわけだが、棒寿司にいたっても東部は皮を上に向ける場合がほとんどである……気がする。
高知県東部の安芸市~室戸市方面では、見かけた記憶がない。
「かいさま寿司」をもっともよく見かけるのは、高知県中西部に位置する、日高村~佐川町界隈だ。
当記事に画像を掲載している「かいさま寿司」も、佐川町の『和田鮮魚店』という魚屋さんのものである。
見てくれ!この!
圧倒的!ごはん量!
"かいさま"にしたサバの身の両側から、大量の酢飯がはみ出ている!
酢飯にまぶされているのは、みじん切りにした生姜と、ゴマ!
サバ寿司カメラマンである私も、数々のサバ寿司を撮影してきたが、これほど酢飯の多いサバ寿司は初めてだ。
「かいさま」になったサバ寿司の特徴として、歯触り、そして舌触りが違う。
口に含んだ瞬間、最初は皮に接触しないため、フワッとした食感がする。
通常のサバ寿司は、挨拶代わりに「皮ですよ!」と主張してくるのだが、かいさま寿司は「ああ、食べられちゃった……」みたいな。少し受け身の性格だ。
人間やうどんに性格の違いがあるように、サバ寿司にもまた個性があるのである。
私は通常の寿司、"かいさま"になった寿司、どちらも好きだ。
お寿司も人間も、みんな違ってみんないい。
世界の竜一は、世界の平和をいつも願っている。