じぇんとる麺 喰 | 生姜農家の野望Online

じぇんとる麺 喰

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雨はさらに強く降ってきた。白く霞んだウォータースクリーンの向こう側にある、愛宕通りを走る車の天井やフロントガラスに水滴が当たって跳ね返っている。

<今日もよく降るなぁ…>連日、雨が降り続く八月の午後。昼下がりのお爺ちゃんみたいに、『じぇんとる麺 喰』の店内から窓の外を見つめていた。

「味噌カツラーメン、あんまり食べないんですけど、じぇんとる麺でだけは食べます。むしろ、あそこに行ったら絶対に味噌カツラーメン食べます。カツが美味しいんです」そう言う人がいた。

「ジャニーズ興味ないんですけど、生田君だけは別格ですっ!(キャピ)」みたいな話である。

その人に、そこまで言わせる『じぇんとる麺 喰』のトンカツ。食べてみたいと思うのは当然だった。

<どれだけ美味しいのか楽しみだね!ぐふっ!ぐふっ!>食べる前からハードルが上がりまくっていた。

雨は依然として強く降っている。雨音で店内のBGMがかき消されるほどだ。
<帰る頃には小降りになるかなぁ…。いまくらい降りよったら車に乗るまでにずぶ濡れや…>

傘を車に置いてきていた。到着した頃には小降りだったので、隣接する駐車場に停めた車から、そのまま店に駆け込んだのだった。

雨が弱くなることを願っていると、轟音の雨音に混じって油が跳ねる音が聞こえてきた。音につられて見ると、カウンターの向こう側で店の男性が一枚一枚、カツに衣を付けて油で揚げていた。

<カツラーメンのカツって冷凍を使う店が多いと聞くけれど、ここはちゃんと生肉を使うんだ…>大きな赤い肉の塊が見えた。

じぇんとる麺喰3

注文したのは、気分的な問題で味噌ではなく『醤油ロースカツラーメン・半チャンセット』

先に『チャーハン』が出来上がってきた。
<なんか…油が美味しい!>食べて思った。妙な感想だけれど本当にそう思った。

一口だけ食べてラーメンを待った。
きた。カウンター越しに丼を受け取った。

じぇんとる麺喰10

<ソースが付いている!>このパティーンは初めてだ。<このソースをカツにかけるのか…!?そうとしか思えないよな…>

じぇんとる麺喰12

想定外のソースセットに戸惑いながらも、まずは”麺喰”。

じぇんとる麺喰11

次に注目のロースカツ。ソースをかけずにプレーンで。
<こ…衣がっ……!>

圧倒的。

<おおおぉぉ……>原付バイクに乗って歌いながら走り去るお兄さんを目撃したときくらい、呆気にとられた。

<舌の上で衣がとけた…>甘くとける夏の日の恋のようだった。そこからの豚の攻撃。

「とけねぇ豚はただの豚だ!」

豚もとける!

<装甲が持たないっ…!>私の中のナニカさえもとけてしまいそうだった。私はどういうわけか、綾波がピンチのときのシンジ君みたいになった。

ピンチのときのシンジ君は、「あやなみ」なんて言わない。

「ハヤナミィィィッ…!」

シンジ君は慌てると、ついつい綾波の名前を間違えてしまうのだ。

二切れ目のカツを口に運ぶ。
<あれっ…随分カツがスープを含んじゃったな…>

「カツラーメンの濡れたカツが苦手だ」と言う人がよくいる。だが私はまったく気にならない。むしろ、衣にスープを含んだカツがまた旨いじゃないか、とさえ思っている。

しかし、生まれて初めてカツラーメンのカツを濡らしたくないと思った。

<せっかくの衣のサクサク感が失われてしまった…>衣がスープを含んだパティーンの旨さより、元々のサクサク衣の旨さ、そのパフォーマンスが圧倒的に上回っていた。

<しまった…!チャーハンの皿にでも救出しておくべきだった…!>後悔もなにも、大後悔時代だ。

そのとき、ゲンドウの声が聞こえた。
「時計の針は元には戻らない。だが、自らの手で進めることはできる」

<スープに溺れたカツを救うことはできなくても、まだ俺にやれることはあるっ…!>このカツと共に新たなるステージへ行かなくてはならない。それが私の使命でもあるのだ。

<うぉぉぉぉっっ!>使徒に突っ込んで行くみたいにして、カツにソースをかける。そして食べる。ガブガブ食べる。

<ソースをかけたら、また違う!もはやラーメンのトッピングとしてのカツの域じゃない…!>

そのとき、ミサトさんの声まで聞こえてきた。

「カツを…喰ってる……」

◆ じぇんとる麺 喰
(高知県高知市愛宕町3-10-7)
営業時間/11:00~15:00(麺切れで終了)
定休日/無
駐車場/北隣のコインPの隅に3台分有

*この数年後、一時期休店されていた『じぇんとる麺喰』ですが、『高知ジェントル麺喰楽部』として、夜営業有りで復活されました。↓

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