複雑な心境で迎えた、
人生29回目の3月29日。
<うっ・・・!うっ・・・!
今年の誕生日も・・・ヒッソリと暮れてゆくのか・・・>
頬を伝って流れ落ちゆく、一筋の涙。
野良仕事を終えて、着替える。
そして、作業着のズボンのポケットに入っていた携帯電話を、
ガサゴソと取り出した、その時。
<あれ・・・彼から・・・着信が入ってる・・・!>
幻製麺所の山雀さんだった。
山雀さんに電話をかけ直すと、
山雀さんは、言う。
「竜ちゃん、今日誕生日なが?」
「えぇえぇ、まぁ誕生日ですね。(;^ω^)」
「実はね、イベント用に打っちょって余っちゅううどんがあr・・・
・・・!いや・・・竜ちゃんの為に特別に打ったうどんがあるがよ!」
「え・・・今なにか聞こえた気が・・・!」
山雀さんは、なにか途中まで言いかけて訂正したような気がしたけれど、
私が田舎に居て電波状況が悪いせいか、よく聞き取れなかった。
その晩・・・。
私は嬉々として、
待ち合わせ場所へと走った。
<人生は・・・何が起こるか分からない・・・!
だけど・・・また幻の山雀うどんをいただけるなんて・・・!>
はっぴーはっぴー・・・!
マジはっぴー・・・!
暗闇の中で、
手を振ってくれている山雀さんが遠くに見える。
<このままその胸の中に飛び込んだら・・・!
一体・・・どうなってしまうんだろう・・・!>
一瞬、そんなあらぬ妄想を抱いてしまいながらも、
終始笑顔で接してくれる優しい山雀さんから、
うどんを受け取って、また走って帰った。
<早く・・・茹でねぇと・・・やべぇ・・・!>
実はこの時、竜一のお手手は、
プルプルと小刻みにバイブレーションを起していた。
例の禁断症状である。
家に入って、急いでうどんを茹でる。
『ふきこぼれないギリギリの強火で13~14分茹でて締めると、
ねばり腰で延びるゴム系麺ができるよ』
前回いただいた時のコメント欄で、
山雀さんからそう聞いていたから、
茹で加減を確認しながら、そのとおりにやってみる。
ゆらり・・・ゆらり・・・。
立ち上る湯気の中から覗く白い麺・・・。
<・・・ええのぅ・・・ええのぅ・・・!>
ムラムラと湧き上がる興奮。
竜一は必死でそれに耐える。
しかし、茹で上がって水で締める時。
ついに、
竜一の興奮、
頂点超え。
そして、壊れる。
うわぁ・・・うわぁぁあああ・・・!
この手触り・・・感触っ・・・!
堪らん・・・堪らんっ・・・!
プルンプルンプルンプルン・・・!
"竜一を・・・強襲する・・・!
アルデンテの誘惑・・・!"
ま・・・まだ食べていないのに・・・!
すさっ・・・凄まじいっ・・・!
すっ・・・すすすすすす・・・
吸い込まれるぅぅううう・・・小麦の世界に・・・!
ぎゅぎゅぎゅいーんって・・・!
うあぁっ・・・!
うあああぁっ・・・!
圧倒的っ・・・悶絶ううぅぅうううっ・・・!
"小麦の世界に吸い込まれる竜一・・・!
果たして彼は大丈夫なのか・・・!"
怒涛の後編へ続く・・・!
後編はコチラっ・・・!
『幻の本手打うどん山雀 桜花の章 後編/うどん乱舞』
(大丈夫なわけが無い)♪~(´ε` )