『前編を読む』
山雀さんのうどんを食べて、「たいびんび」を出た私は、
なにか面白いものでもないかと辺りを見渡していた。
すると、あるブログに掲載されていた画像で見た、
"ドルチェかがみまま"によく似た女性がいた。
「あっ!」と思ったけれども、
とりあえず、私は一瞬合った視線をそらして知らん顔をした。
確信が持てなかったからだ。
知らない人と見詰め合ったりしたら可笑しいではないか。
もう一度、顔を確認して、
改めて自分の中で詳細に判別しようとしていると、
私の判別が終わる前に、女性のほうから「もしや竜一ではないか」と声をかけてきた。
その瞬間、私も確信して、「おぉおぉアナタがドルチェさんか」みたいなことを言うと、
「どうしてわかった竜一!なんでオラがドルチェやとわかった!」みたいに返された。
つまり、やはりその人は、
「イタリアンジェラートの店・ドルチェかがみ」の、"ドルチェかがみまま"だったのである。
ドルチェままも、赤岡に遊びに来たのかと思っていると、
そうではない、出店されているのだと訊いた。
見ると、たしかに「たいびんび」の向かいには、
赤白緑、イタリア国旗を模したカラーリングの屋台がある。
これは食べておかねば!
うどんのあとにジェラート!最高じゃないか。
私は、「抹茶」と「牛乳」のダブルを選択して頬張った。
すると、舐めるごとに、お口の中がドンドンと茶畑になり、
茶畑を牛が「モォーモォー」言いながら、のんびりと歩きおおす。
思わず私も、「モォーこれホンマ美味しいモォー」と、
「モォーモォー」言ってしまう次第だった。
それから、「たいびんび」前で、
"たいびんびさん"や"ドルチェまま"と記念撮影したりして、
なんか俺、人気作家みたいやー!と、完全な勘違いをし始めていると、
さらに、いつもコメントを書いてくれる"かくれんぼみおさん"や、
竜一のファンだとまで言ってくださる方も現れて、俺こんなに有名やったのか!と益々勘違い。
そして、あの話が良かった、この話が良かった、
こういうところが良い、ああいうところが良い、と、
とにかく、たくさん褒めてもらえて、本当に嬉しくて、ただただありがたかった。
だが、私は「あぁそうですか」というような言葉しか返せず、
ありがたいと同時に、申し訳ない気持ちで一杯で・・・。
ブログではメイドコスプレをしてみたり、
カラオケ動画を上げてみたりと、やりたい放題だけれど、
実際には、ただの根暗な変人に過ぎない。
俺はホンマにアカンわぁ、と落ち込んだ気持ちに、
褒められて嬉しい気持ちが入り混じって、心中グチャグチャと乱れた。
(今日は、ふつつか酔いなのだ!と何度も主張していたyukiさん☆)
そうしていると、「イングホームのブログ」を更新されている"yukiさん"もやって来て、
もはや「たいびんび」前は、オフ会状態に。
yukiさんに会うのは一年ぶり二度目だったけれど、
yukiさんのブログは、いつも更新されるたびに読んでいて、
yukiさんが最近食べたうどんを、すべて把握しているせいか、一年ぶりという感じはしなかった。
やはり、この人が最近どんなうどんを食べているか、
それさえわかれば、人間同士は大体打ち解けられるものである。
何処か昭和の香り漂うレトロな赤岡の商店街で、
いろんな方と話しながら、ゆったりと穏やかな時間を過ごす。
一人で来ているので、
当初は、うどんを食べてすぐに帰る予定だったけれど、
予想だにしていなかった方々と、次から次へと出会えまくって、すっかり長居してしまった。
<そろそろ帰るか・・・!>
車に乗り、赤岡の商店街を抜けて、国道へ出ると、
一気に昭和から現代に引き戻されたみたいな、不思議な感じを覚えた。