讃岐うどんのメッカ・香川には及ばないが、
高知にもたくさんのうどん屋さんがある。
そんな高知を舞台に、うどん屋さんからうどん屋さんへ、
私は日々の農作業の合間を縫って、四国霊場88ヶ所巡りのように食べ歩いている。
思えば、こんなことを、もう7年も8年もしている。
暇さえあれば、うどん。
とにかく、うどん。
元来は、"引き篭もり農民"であるから、
うどん以外の用事で外出することなど滅多にない。
髪はうどんを食べるついでに切りに行くものだと思っているし、
服はうどんを食べるついでに買いに行くものだと思っている。
うどん以外の用事で外出することといえば、
時々、車に乗らないオバ=アの足代わりに、心優しい孫である私が車を運転して、
スーパーや地元の商店街の魚屋さんへ買い物に連れて行くことがあるが、
そのときも、ついついオバ=アが買い物をしている間に、
どうにかして"うどん"を食べに走れないかと模索してしまう。
四六時中、うどんのことが頭から離れない。
何処にいても、あの白い麺線を追い求めている。
出られない・・・。
小麦の樹海から、出られない・・・。
「助けてください・・・!
・・・助けてください・・・!」
私は片山恭一さんの小説「世界の中心で愛をさけぶ」の一場面のように呟きながら、
白馬に乗って、高知市仁井田のうどん屋さん、「健康志向。麦庵」を目指した。
4年ぶりか、5年ぶりか。
前回来たのがいつだったか、思い出せないぐらい久しぶりだった。
突然「麦庵」を目指すに至ったのに、大した理由なんか無くて、
ただ・・・逢いたかった・・・麦庵の白い麺線に。
入れ込みすぎて、11時の開店の10分前に到着。
もちろんまだ店は開いていなかったから、
一旦、三里方面を偵察して、また11時5分ぐらいに戻ってきた。
店の駐車場で開店を待つのは、
"うどんに飢えて鼻息荒くやって来た中毒"みたいで、
どうしても恥ずかしかったのだ。
私は鼻息を潜めて入店した。
大きな窓から光が入って明るい店内には、
すでに2組ほどの先客がいる。
開店から5分しか経っていないのに、だ。
<ほぉ、俺以外にも中毒が参上しているというわけか・・・>
と、開店勝負の皆様を勝手に中毒認定しながら、着席。
テーブルの上には、「高知産しょうが」と書かれた容器。
これを見た瞬間、さすがは麦庵だと思った。
素晴らしい店だと思った。
繁盛している店は違うなと思った。
ならば、是非とも、
この生姜をうどんの上に乗せて、
サッパリと頂こうじゃないか!
『肉ぶっかけ』
この局面、勝負は「肉ぶっかけ」
「大盛」にしたいところだけれど、実はこのあともう一軒行きたい店があるので、自重の「並盛」
麺上には、タップリと肉が敷き詰められていて、
その脇に、ピリリと辛い「ワサビダイコン」が添えられている。
私は肉の上に加減しながらワサビダイコンを乗せて、
麺と共に箸で掴み上げて放り込んだ。
滑らかでツルツルとした麺。
サッパリ!スッキリ!さわやかな味わいの、ぶっかけ出汁。
それにワサビダイコンの刺激がビリビリと絡み付いて、
炭酸飲料を飲んだときみたいな、爽快な後味が駆け抜ける。
さらに「高知産しょうが」を乗せて、
ワサビダイコンと共にうどんを掻き込むと、
後味の爽快感が倍増しになって、うどんがジェット機みたいに胃へ飛び去った。
『きつねうどん & ちくわ天』
◆ 健康志向。麦庵
(高知県高知市仁井田70-4)
営業時間/平日・11時~14時30分、土日祝・11時~15時
定休日/第3木曜日(祝日の場合は翌日)
営業形態/一般店
駐車場/有
(肉ぶっかけ630円、きつねうどん480円、ちくわ天90円)
『健康志向。麦庵』の場所はココ・・・!