『エピソード1を読む』 『エピソード3を読む』
定食1000円に誘われて、野を越え山を越え、
川を渡って海を泳いで、やっとこさ辿り着いた景福宮本店。
そこで竜一は出逢う・・・!"あの"ナイスガイに・・・!
<んっ・・・!
ここで靴を脱いで・・・入ればいいのかな・・・!?>
初めてだから少し勝手が解らず、
玄関で右往左往していると・・・。
奥の方でチラッと。
何処かで見た横顔が覗いた。
<うえええええ・・・!
まさかまさかまさか・・・!?>
竜一・・・!凝視・・・!
その顔・・・誰がどう見てもあの人・・・!
ヨンチョルさん・・・!!
いきなりの生ヨンチョルさんに、
感動と動揺が入り混じる。
<やばい・・・!やばい・・・!
ヨンチョルさんに伝えたい愛の言葉があり過ぎて・・・!
逆に言葉が・・・なんにも出て来ねぇ・・・!!>
うぅぅ・・・!
抱き付きたいっ・・・!
アイドルに逢うことが出来たファンのように、
若干のパニックに陥っていると、
まるで清流が流れる音みたいに清らかな声でヨンチョルさんが誘ってくれる。
「いらっしゃいませぇ・・・!どうぞぉ・・・!」
<うおぉぉぉ・・・!
生声きたぁぁぁぁぁ・・・!>
興奮・・・!
高揚っ・・・!
鼻血が出そうなほどの熱狂っ・・・!!
ヨンチョルさんに誘われて、室内に入る。
「テーブルか・・・座敷か・・・どちらにします・・・?」
一瞬、迷った。
<テーブルか座敷・・・テーブルか座敷か・・・!
くっ・・・俺の中ではどっちでも良くて決められねぇ・・・!>
二年は迷いそうだった。
<あぁっ・・・でも・・・!座敷のほう・・・!
見えねぇけど・・・なんだかお客さん一杯いそうな雰囲気だし・・・!
テーブルにしようかな・・・!>
考究の果て・・・!
達す・・・結論・・・!
「あ・・・!じゃあ・・・テーブル席で・・・!」
ヨンチョルさんに案内されて入った、テーブル席がある部屋。
テーブル席はテーブル席で、座敷とは別の部屋に設けられているようだった。
その部屋に入った瞬間、
竜一、心中乱れる。
<ちょ・・・!おま・・・!
夜は二階でブログを書いてるんじゃなかったのかよ・・・!>
まさか居るとは思わなかった。
完全に意表を衝かれた。
「あら・・・竜ちゃん・・・!」
門田氏である。
「えっ・・・あっ・・・ああっ・・・あはは・・・!」
門田氏との突然の遭遇に、至ってしどろもどろになりながら、
空いていた席に座って、脇に置かれていたメニューを見やる。
<いやぁ・・・ビックリした・・・!あの人夜もおるんかいや・・・!
まぁ・・・さてどれにするか・・・!全部1000円なんだよな・・・!
くっ・・・迷う・・・麺狂としては冷麺かビビン麺・・・いやしかし・・・!>
この時、
竜一は思案していた。
<景福宮のことを事前に少しネットで調べたが・・・!
みんな石焼ビビンバが美味しいだのマイウーだの書いている・・・!
そこから察するに・・・景福宮の一番人気は恐らく石焼ビビンバ・・・!>
言うなれば・・・!
看板メニュー・・・!
<ならば・・・この局面・・・万人の支持に従い・・・!
石焼ビビンバ定食・・・それがいいっ・・・!>
そして、思い起こす。
<考えてみれば・・・!俺自身・・・!
もう何年も石焼ビビンバを喰ってねぇっ・・・!>
だったら尚更・・・!
<ココイラでそろそろ喰っておくのが・・・!
栄養バランスのためってもんだろっ・・・!>
それは『石焼ビビンバ定食』に概ね決めかかった頃だった。
もうひとつの石焼ビビンバが目に入る。
<えっ・・・あっ・・・週替り・・・!?
週替り石焼ビビンバ定食って・・・なんだこれっ・・・!>
脳内、てんやわんや。
もはや、パニック。
その時。
「ご注文・・・お伺いしましょうか・・・?」
などと、まるで店員さんみたいな口調で注文を取りに来た門田氏に言う。
「週替り石焼ビビンバ定食・・・!」
「週替り・・・今週はヒジキやけど・・・えい・・・?」
別にヒジキは嫌いじゃないし、むしろ大好きなのだけれど、
ヒジキを石焼ビビンバに入れたものは未経験で、少し躊躇。
「じ・・・じゃあ・・・普通の石焼ビビンバ定食で・・・!」
門田氏にそう伝えた直後に、いろいろな思惑が交錯する。
<いや待てよ・・・週替り石焼ビビンバ定食の通常価格は1480円・・・!
それに比べて・・・石焼ビビンバ定食の通常価格は1380円・・・!
どっちも1000円だったらこの際・・・週替りにしたほうがお得っ・・・!>
変更。
「ああぁっ・・・やっぱり・・・!
週替り石焼ビビンバ定食・・・!」
「どっちよ・・・!
週替りのほうでええが・・・?」
「う・・・うん・・・!」
その後、門田氏から受けた約2時間に及ぶ長い説明によると、
定食のおかずは取り放題。さらにお飲み物まで付くと言う。
<取り放題って・・・ネギや生姜・・・天カスだけじゃなくて・・・!
おかずが取り放題とか・・・!そんなことってあるのかっ・・・!>
ヨンチョルさん・・・!
やっぱりあんさんはナイスガイやぁ・・・!!
初めて行った景福宮で、
景福宮のヨン様ことヨンチョルさんの太っ腹ぶりに、
農民は、ただただ驚くのであった。
(エピソード3へ続く・・・!)
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