「釜バター・・・!」
「少しお時間がかかりますが・・・!
出来たらお席までお持ちしますので・・・!」
「や・・・やっぱり醤油うどんで・・・!」
「ちょっと待っていただけたら釜バター出来ますけど・・・!」
「いや・・・醤油うどんで・・・!」
「数分だけ待っていただけたら釜バター出来ますけど・・・!」
前回、その店を訪ねた際、
店主さんと私は、そんなやり取りをした。
店主さんは、どうしてか私に釜バターを食べさせたい雰囲気だった。
けれども、私は一旦高ぶり始めた醤油への気持ちを止められなかった。
釜バターの出来上がりを待つ時間なんていくらでもあったけれど、
私は釜バターから醤油への注文変更を押し通した。
だが、それからずっと気になっていたし、知りたかった。
記憶が定かならば、
たしか釜バターはその店のメニューの中で最も値の張るメニューだったはずだ。
店主さんがやたらと釜バターを推してきたのは、
単純に客単価を少しでも上げたかっただけなのかもしれない。
しかし、もしかすると、
すごく味に自信があるメニューなのかもしれないし、
ただ単に、たまたま推してみただけだったのかもしれない。
とにかく、ずっと気になっていた。
知りたかった。
釜バターの真相が・・・!
「さぬきや」さんで釜玉を食べたあと、
私は釜バターの真相を探るべく、その店へ向かった。
夜も眠れない・・・。
あの釜バターを食べないと・・・9時間しか眠れない・・・。
『セルフうどん 麦笑』
雨は上がったが、
空は相変わらず灰色した分厚い雲で覆われていた。
入口の戸を開けると、
前回も見かけた口髭を貯えた店主さんがいた。
「いらっしゃいませ、ようこそいらっしゃいました」
と白い歯を見せて笑顔で丁寧に歓迎してくれる。
<"いらっしゃいませ"のあとに・・・!
"ようこそいらっしゃいました"で包み込んでくるこの感じ・・・!>
嬉しいっ・・・!
なんだか嬉しいっ・・・!
そしてカウンター越し。
当然、私は因縁の「釜バター」を発注した。
今回は、20分でも30分でも待つつもりだったけれど、
この局面、運よく茹で上がりのタイミングに遭遇したのか、
待ち時間ゼロで、すぐさま提供してくれた。
『釜バター(2玉) & アジフライ』
<これが因縁の釜バター・・・!>
麺にバターを絡ませて、ブラックペッパーをかけた一品。
卓上の出汁醤油を垂らして食す。
<ふぉぉっ・・・!
バターがフワッと香って・・・麺・・・ニュオーン・・・!>
その後に小麦が大挙して押し寄せてくるっ・・・!
全身にバターを纏った麺は、
圧倒的な滑らかさで喉の奥に吸い込まれ・・・吸い込まれ・・・吸い込まれおおす・・・!
どこかカルボナーラ的なイタリアンパスタを彷彿させる味。
「カマバターノ!カマバターノ!うどんオイシカッタッツェ!」
などと、すっかりイタリア語もペラペラになって麦笑をあとにした。
『しょうゆ・温(1玉) & ちく天』
◆ セルフうどん 麦笑
(高知県高知市本町2丁目2-4)
営業時間/11時~15時
定休日/不定休(月2回程度)※ほっとこうち6月号情報
営業形態/セルフ
駐車場/無
(しょうゆ2玉400円、かけ2玉380円、[1玉の場合は100円安くなる] ちく天100円、アジフライ80円など)
『麦笑』の場所はココ・・・!