平日。木曜日。14時すぎ。
香美市、国道194号線、歩道橋の下にある
「手打ちうどん・まるしん」へ達す。
駐車場に車を入れようと試みたが、満車。
店の窓越しに見える店内も、満席。
待たない。
正確には、"店の前では"待たない。
ひとりで店の前で待つのは、なんだか恥ずかしいし、
まるしんのうどんを必死で食べようとしている感が店側に伝わって、
その後の展開が店側優位に運ぶ恐れがあるのでイヤだ。
うどんを食べるのは、簡単なことじゃない。
将棋、あるいはオセロのように、
常に相手・・・つまり店側の数手先を読まなければならない。
＜入店時から・・・！
店側に主導権を握られるなんて・・・！
そんなの・・・いきなり致命傷っ・・・！＞
近くのスーパーで買い物をして時間をずらす。
元々、スーパーに寄る予定だったし。
30分後・・・。
スーパーで"生春巻きの皮"こと、ライスペーパーと、
ムキエビ、カイワレダイコン、サニーレタスなどを購入して、まるしんに再挑戦。
『手打ちうどん まるしん』
時間をずらした成果あり！
客は、さっきの半数ぐらいに減っている。
＜狙い通り・・・！＞
仕留めた。
まるしんの30分先。
＜時の流れが俺に味方した・・・！＞
時間をコントロールする。
これは人気店を探訪する上で重要な技術である。
キィーキィー鳴るお馴染みのドアを開けて店へ入った。
カウンターの端、レジに一番近い席へ座った。
この席には、よく座る。
空いていたら無意識の内に座ってしまう。
吸い寄せられるように。
隅が好きなだけじゃないのかと言われると、そうかもしれない。
隅を取るということは戦略的にも重要だ。オセロだってそうだ。
とりあえず、私は水を持ってきてくれたお姉さんに注文した。
それから「ジョジョ立ち」について真剣に考察しながら待った。
するとカウンターの、もう片方の端の席、
つまり"逆サイド"に座っていた老夫婦が、食べ終えて席を立った。
会計するために厨房から出てきた店主に、
白髪の亭主は言った。
「このコンニャク・・・！
なかなか美味しかった・・・！」
＜コンニャク・・・！
あぁ・・・おでんのコンニャクのこと・・・！＞
コンニャクの味を褒められた店主は嬉しそうに笑って、
これは○○から仕入れているのだと答えていた。
＜うどん屋でおでん・・・！
一度も食べたことがないけれど・・・！
そんな話を聞くと食べたくなるっ・・・！＞
なるほど。おでんねぇ・・・。
と思いながら、私は相変わらず、
ジョジョ立ちについての考察を巡らせていた。
そんな穏やかな午後を切り裂くように・・・。
まるしんは唐突に・・・！
襲い掛かってくる・・・！
『天ぷらうどん（大盛）』
見てくれ・・・！
この戦慄のド迫力っ・・・！
デカイ！強い！
刺さってるっ・・・！
エビ天2尾の歓喜っ・・・！
まるしんのかけ出汁入りうどんは、かなり久々。
もしかすると、数年ぶりかもしれない。
＜醤油や・・・ぶっかけで食べるより・・・！
麺・・・！クニュクニュしてるっ・・・！＞
やや濃いめの出汁。
＜麺に出汁が染みている・・・！
それからそれが体にまで・・・！＞
染み込んでくるっ・・・！
遠い記憶にある、
まるしんのかけ出汁の味と、まったく違った。
＜五臓六腑にギュンギュンくる・・・！
このかけ出汁・・・ギュンギュンくるっ・・・！＞
食べた。
とにかく食べた。
暑い・・・！
＜熱気が・・・！
丼底（ドンゾコ）から立ち昇ってくる・・・！＞
暑い・・・苦しい・・・！
苦しいけど・・・！
今が一番幸せっ・・・！
額に汗を滲ませながら、
興奮の昼は過ぎていった。
ある夏の日のこと・・・。
『ひやかけ（特盛） ＆ ちく天』
9月末までの期間限定で提供されていた「ひやかけ」
去年より、出汁の威力が強くなった感じがした。
＜好きだよ・・・というより"好きだった"よ・・・！
俺は今年のひやかけのほうが・・・好きだったよ・・・！＞
また来年の夏の日に・・・。
◆ 手打ちうどん まるしん
（高知県香美市土佐山田町楠目339）
営業時間／11時～18時
定休日／月曜日
営業形態／一般店
駐車場／8台
天ぷらうどん700円、冷山肉しょうゆ750円、肉ぶっかけ680円、ひやかけ380円、かきあげぶっかけ500円、
スペシャルぶっかけ650円、しょうゆ380円、温玉ぶっかけ480円、揚げ餅100円、中盛50円増、大盛100円増、特盛200円増など）
『手打ちうどんまるしん』の場所はココっ・・・！
さらに昨日（11月11日）、
また南国の新店を偵察してきた。
とりあえず・・・。
ジョジョ立ち、失敗・・・！
圧倒的・・・！
歌舞伎役者っ・・・！
まだ「近日オープン」と書かれた張り紙のみ。
ただ内装は徐々に出来てきていて、
前回の偵察時にはなかったカウンターが設置されていた。
（※ ジョジョ立ちについては、もっと稽古を積んで精進します・・・）
