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岡山まで乗る特急列車「南風」は大抵空いていて、
通常、指定席を取らなくても座れるので、自由席。
ちなみに昨年鹿児島へ行った際も自由席だった。
とは言っても、
自由席の混み具合は乗ってみないとわからないので、
若干ギャンブル的な要素をはらんでいる。
老人2人が立ったままで
岡山まで行けるわけはない。
そのため私は少しドキドキしていた。
満席だった場合、どう対応するか、である。
だが幸運にも、
心配は杞憂に終わった。
南風は、いつも我々の
期待通りの姿で迎えてくれる。
乗車。
━━━1月25日(金) 午前7時過ぎ、
特急列車・南風4号、岡山行き、列車内━━━
南風に乗り込んで着席すると、
我々は早速!バシャバシャとビニール袋をまさぐった。
朝食。
『おにぎりセットと、お茶』
<おっ・・・!旨いっ・・・!
一粒一粒に見られるエッジ!コシ・・・!
ライス・アルデンテの獰猛なる攻撃力っ・・・!>
自分でも、わけのわからないことを呟きながら、
乗る前に駅の売店で買った、おにぎりセットを平らげる。
列車は走る。
「ギューン!」とエンジン音を響かせながら走る。
真ん中の通路を挟んで、
両側に2席ずつ席が設置されている、
特急列車・南風の車内。
私は進行方向に対して右側の列に座っていた。
通路を挟んだ左側の列に、オビ=ワンとオバ=アが座る。
オバ=アが言う。
「竜一・・・!
サンドイッチもあるが!いるかえ?」
「うん・・・」
『サンドイッチ』
サンドイッチは前日の夕方に、
オバ=アが地元のパン屋さんで買ってきていた。
<一晩寝かせたサンドイッチ!
旨いっ・・・!熟成されている・・・!>
さらにオバ=アが訊いてくる。
「おにぎり!もう1個、よう食べんかえ?
オジイさん、もう要らんと!」
「あぁそう!
ほんなら食べちゃお!」
私は、おにぎりをもう1個いただいた。
<断らないよぉっ・・・!
食べれるときに食べれるだけ食べるよ!俺は!>
これでおにぎり4個も食べたんだ・・・!
誰が見ても俺は裸の大将!圧倒的!山下清・・・!
高知から岡山まで、
約2時間半の道のり。
窓の外は絶景。
それにしても・・・。
退屈。
通路を挟んだ反対側の席で、
オビ=ワンとオバ=アは延々ボソボソと、
2人で車窓から見える風景についての感想を述べている。
列車は進む。
ズンズン進む。
箸蔵。
善通寺。
瀬戸大橋。
<んんー!
瀬戸内海だねぇ・・・!>
━━━1月25日(金)
午前9時38分━━━
岡山駅、着。
ここで、普段は
イースター島で暮らすオカンと合流。
オカンはニヤニヤと不適な笑みを浮かべて、
ホームで待っていてくれた。
ここから東京行きの新幹線「のぞみ」に乗り換えて、
名古屋まで行かなければならない。
乗り換えに許された時間は、11分。
我々は、あまり言葉を交わす余裕もなく、
新幹線のホームを目指した。
(第4話へ続く!)
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