喜寿・静岡伊豆放浪記! 第18話 「露天風呂と金目鯛」

2014.04.07

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喜寿・静岡伊豆放浪記! 第18話 「露天風呂と金目鯛」

2014.04.07

『第17話を読む』


2日目の宿『湯苑』には、2カ所ある大浴場の他に「貸切り露天風呂」があるというので、入ってみることにした。

露天風呂を貸し切れるのは、50分間。
最初の25分間をオバ=アとオカン。残りの25分間をオビ=ワンと私が使う。

露天風呂の待ち時間に、生まれて始めての足岩盤浴!

足が…あったけぇ…!

足を温めながらボケーっとしていると、オバ=アとオカンが風呂から出てきた。

ロビーの片隅で、伊豆関連のよくわからない冊子を読んでいたオビ=ワンを呼び寄せ、風呂へ向かう。

『貸切り露天風呂』

露天風呂の周りを囲う竹柵の向こう側、すぐそばに海。波の音が「ザッパーン!」と聴こえてくる。

「ちっくと…ぬるいねゃ…!」
とオビ=ワンは湯加減の感想を述べた。

「んー」
私は曖昧な返事をした。「ぬるいっちゃぬるい」

風呂から上がると部屋に戻り、しばらくグダグダした。それから晩ごはん。

うっひょー!

ビール!うっひょー!

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飲みまくる高知県民。

他の宿泊客たちと同じ空間で食べる方式だったのだが、我々だけ酒の注文の仕方がおかしかった。

オビ=ワンとオカンは日本酒を飲み、私は焼酎をロックで飲んだ。お代わりもした。しまくった。

しかし途中でオカンが「ここは旅館だ!飲み屋じゃない!他にこんなに飲みゆう人おらんやいか!恥ずかしい!」みたいなことを言い始め、シブシブ飲むのをやめた。

だが、そのときオカンの顔は真っ赤だった。

もちろん恥ずかしさで真っ赤なのではない。ただアルコールの作用で血行が良くなっているだけだ。

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後半、大きな金目鯛の煮付けが出てきた。

「すごいね!これ…!」
無邪気に歓声を挙げる私を蔑むようにオカンが言った。

「えー?竜一…金目鯛…初めて見るが?」

「いや…あるけど…」
マジレスされたことに私が動揺していると、さらにオビ=ワンが言った。

「金目鯛は室戸の海でも漁れらぁよ…!なんちゃあ静岡まで来いだち食べれる!」

「いやいやいや…そんなこと言うたら身も蓋もないやいか…!」

一連のやり取りを聞いていたオバ=アが「ヒャッヒャ」と笑った。

それから部屋に戻って、また飲んだ。

「あれらぁ、まだやりゆう!」
焼酎を煽る私とオビ=ワンを見て、オバ=アが言う。

見知らぬ地で飲む酒は旨い。
どこで飲んでも旨いのだけれど、また一段と旨い。

(第19話に続く!)