年の瀬。南国市。
韓国料理の店『景福宮(きょんぼっくん)』
瓦でふいた立派な門をくぐる。
「ほぉ…相変わらず立派なお庭ですなぁ……」
東京ドーム2個分はあろうかという、その庭。
むしろ庭園っ……!
そのとき私。
窓越しに発見した。
ヨンチョルさん…!!
景福宮の代表取締役でありながら、
奥様に取り締まられている。
代表取り締まられ役だ、
と噂のヨンチョルさんがそこにいた。
上半身が目立つピンク色していたので、すぐにわかった。
玄関から中に入る。
瞬間、「おっ!久しぶりー!」
と奥から飛び出てくる、店長のヒロシ氏。
飛び出るヒロシ氏。
「おかしい……!
いま俺は完全に気配を消していた…!
なのに……なぜ俺が来たとわかった……!!」
「ククク……竜一……!
凡人を錯乱させることはできても……!
ワシの目は誤魔化せんのじゃよ…ぐはっぐはっ…!」
と、ヒロシ氏は言いたいところだっただろうが、
さすがに口にはしなかった。
通常の『ビビンバ』と『石焼ビビンバ』
食べ比べをしてみたかったので、両方を注文。
定食にはバイキング食べ放題が付いている。
早速取りに行った。
いっぱい食べて大きくなります。
まずは1ターン目。
チャプチェ、韓国風おでん、カブのキムチ、イタドリの炒めもの、などを押収。
広々とした景福宮店内の隅の席でコソコソ食べる。
私が食べているあいだも、ヒロシ氏とヨンチョルさんは世話しなく働いている。
「偉いぞー!偉いぞ!ヒロシ氏!」
上から目線でエールを送った。
やがて…来たる。
ノーマルビビンバ…!
スープ付きっ……!!
周囲を彩る各種お野菜。
中央に座るご飯の上に、目玉焼き。
黄身を割れっ……!
夢の扉を切り開くようにっ…!!
赤いタレを垂らし………!
洗濯機みたいに豪快に…!
ビビンバを混ぜおおすっ……!!
ナムルが……!
米の1粒1粒が……!
こんにちは………!
こんにちは……と………!
語りかけてくるっ…!!!
程なくして『チーズ石焼ビビンバ』も駆けてくる。
ジュージューと音を立て…!
濛々と湯気を昇らせる様……!!
その様………!
まさに…………!
ビビンバ様っ…!!
「ノーマル・ビビンバは……!
熱の通っていない野菜の瑞々しさ…ブリブリ感っ…!
石焼ビビンバは…ご飯のオコゲ具合…!」
両者それぞれに……!
それぞれの良さが………!
この日のデザートは『マンゴーのゼリー』
必ず貰えるドリンクには『抹茶オーレ』を指名した。
「抹茶オーレ美味いな……!」
生まれて初めて飲む、抹茶オーレ。
信長みたいにグングン攻めてくる抹茶味に感激。
「抹茶オーレは…!
飲める抹茶アイスだ…!」
名言を残して昼下がりの景福宮を去った。