『第2話-1を読む』
少し奥に進んだところに
数人のおばちゃんがいて、
麺が入った器をテーブルの上に
たくさん並べている。
そのさらに奥に、
大きな釜があった。
釜からは白い湯気が
温泉みたいに濛々と立ち昇っている。
「すごいねぇ…」
ご家庭ではなかなか見れない、
迫力の光景に圧倒される竜一。
なんか香川っぽい…!
「竜ちゃん……!」
嫁の声で我に帰った。
眼下のテーブルを見ると、
すでにうどんに出汁が注がれた器が
4つ用意されていた。
先にテーブルを確保してくれていた
お父さんとお母さんの元へ、
4つのうどんを載せた盆を持つ嫁と
手ぶらの婿、急ぐ。
そうして、いざ、
パイプ椅子に着席した4人。
さあ!
みんなでおうどん
食べようよ!
うどんが、
讃岐うどんの顔してる。
みんなほぼ同時に一口目。
コミュ障、竜一、
頑張って感想を述べてみる。
「麺がわりと太めやき、
硬めかなって思って食べたら
意外と柔らかいっすね……!」
「そうやねぇ!柔らかいねぇ!」
と、お母さんも言う。
コシがないわけではなくて、
ムニョンムニョンした、飲めるうどん系。
麺がうるさく主張してこないので、
食べやすい。
みんな、
まさに飲むように食べて
何分もかからずに完食。
その後、
みんなで田村神社、探索。
この神社、かなり面白い。
回すとご利益があるとされるものが
敷地内のいたるところに複数あり、
回しまくっている内に童心に帰れる。
途中、回せるこま犬があった。
「ぐぉ……」
唸り声を挙げ、
重そうにこま犬を回すお父さん。
「そんなに重いがや!」
驚く嫁。
「えぇっ……!」
と、お母さんも驚く。
他のは、どれも軽かったのに…
こま犬だけ重いのかな……。
そのとき、お父さん。
「まぁ、んなこたぁー
ないけんどよ」
と笑って、
今度は軽々とこま犬を回し始めた。
「なんでー!お父さん!
本当に重いがかと思うたに…」
嫁、爆笑。
みんな爆笑。
(つづく)
『第3話を読む』
◆ 田村神社 日曜市
(香川県高松市一宮町286 田村神社境内)
営業時間/6:00頃~13:00頃(日曜日のみ営業)
定休日/日曜日以外
営業形態/セルフ
駐車場/約80台