Deer Land Farm 岡崎牧場 春風の章 前編/骨肉の争い

投稿日:2012.04.14 更新日:

『味里』でうどんを食べて、『麦笑』でうどんを食べて、
合計3玉分のうどんを取り込んだあと、私は車で高知市北部の円行寺という地区を目指していた。

万々のTSUTAYAの脇を抜けて北へ進行すると、
山が近付くに連れて急速に周囲の家々は数を減らし、唐突に田舎風味が漂い始める。

一度来て場所はバッチリ記憶しているから、
迷うこともなく、余裕のよっちゃんにて、到着。

岡崎牧場

『Deer Land Farm 岡崎牧場』

岡崎牧場 牛

到着して車を降りると、牛がいた。

牛は、私をジッと見つめたまま、視線を外さなかった。
ずっとだ、ずっと私を見つめ続けていた。

なにか言いたいことでもあるのかと、
私も牛をジッと見つめ返す。

重なり合う、一人と一頭の視線。

動物は言葉を話さない、もしくは話していたとしても、
我々人間には理解できない次元のものであるが、
動物の気持ちを知ることは、不可能なことではない。

目だ。
目を見るのだ。

"目は口ほどにものを言う"

目を見れば、なにが言いたいのか、大抵わかるものである。

私と牛は、視線を重ねた。
そして、多くのことを目と目で語り合った。

もちろん、牛が抱える様々な悩みについては、
出来るだけ親身になって聞くように努めたし、
牛の力になれるようにと、可能な限りの進言はした。

すると、牛は堰を切ったように鳴き始めた。

「モォー!」

「竜ちゃん、かっこいいモォー!素敵だモォー!」
「もしワタシが人間だったらモォー放っておかないところよ!」

「そんなこと、わかり切ってるし、よく言われるよ」
なんて気の利いた返事が出来れば良かったのだろうけれど、それを口にしてしまうと、
牛と私のあいだにある越えていけない境界線を越えてしまいそうで、言うことをためらった。

それ以上、牛とのあいだには何も無かった・・・。

私は牛に手を振り、別れを告げて、
敷地内にある直販所みたいな所へ向った。

そこで売られていたニンジンに目をやった瞬間、
直販所のオバアさんが言う。

「ヤギも食べます、ウサギも食べますよ、エッヘッヘッヘッヘ」

オバアさんの妖しげな笑いの力に押されるようにして、
1袋に10本ほどだろうか、たくさんのニンジンが入って
たったの100円しかしない、動物のエサ用ニンジンを購入。

それも、2袋。

テクテクと歩いてヤギ場へと達す。
前回来た際にもいた3匹のヤギが、柵から身を乗り出すようにして私を迎える。

<たしかこの3匹、お母さんと娘と息子で、血の繋がりがあるんだったよな・・・
一番大きいのがお母さんのメイで、角無しが息子のハチベエ、残りの1匹が娘のハナか・・・>

それにしても興奮している。
私が提げた大量のニンジンを見て、すこぶる興奮している。

袋から1本のニンジンを取り出し、
それをおもむろにヤギの眼前に掲げた瞬間・・・!

岡崎牧場 ニンジンを奪い合うヤギたち

奪い合う3匹。

「血も涙も関係ねぇ!」

頭と頭をぶつけ合い、必死でニンジンを奪い合う。
骨肉の争い、まさに骨肉の争いである。

それを経て、ニンジンを勝ち取った勝者は、娘のハナ!

見てくれっ・・・!
この至福の表情・・・!

岡崎牧場 ヤギの悶絶

悶絶・・・!
圧倒的悶絶っ・・・!

岡崎牧場 ヤギの愉悦

あとはただ・・・!
愉悦に浸るだけっ・・・!

ニンジンを丸呑みにして幸せそうな表情を浮かべるハナを前に、
私に出来ることは、ただただ苦笑しながら見守ることだけだった。

(後編へ続く・・・!)
『Deer Land Farm 岡崎牧場 春風の章 後編/ムギュムギュウサギ』

  • この記事を書いた人

竜一

1982年生まれ。高知で生姜農家をしています。うどんをかぶって寝たいほどうどんが好き。ラーメンとカフェも好きで大量の飲食店を食べ歩く日々。これまでに食べ歩いた飲食店は数千件。高知のグルメ情報はおまかせください。農業は生姜一本で稼いでます。>>詳細ページへ

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