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━━━1月25日(金)
午後5時、伊豆温泉、宿到着━━━
入る。
中庭の洗礼。
<おいおいおい・・・!
中庭がある・・・!中庭なんて見たの!
中学生のとき以来だよ・・・!>
抹茶。
静岡県といえば、やはりお茶。
到着早々、その抹茶が振舞われる。
<抹茶ってどうやって飲むんだっけ・・・
まぁとりあえず・・・グルグル回しとこ・・・>
遊園地のコーヒーカップの乗り物みたいに、
器をテキトーにグルグル回して飲む。
<うまい・・・!
抹茶アイスの味や・・・!>
しばらくして
仲居のお姉さん、現る。
お姉さんを先頭に、
我々は部屋へ向かう。
お姉さんは時々立ち止まって、
全5ヶ所にある風呂の入浴可能時間についての説明をしてくれる。
フンフン頷きながら説明を聞く、
私とオカンとオバ=ア。
だが、そのときオビ=ワンは、
まったく話を聞かず!
廊下の戸の具合を触って確認したり、
中庭の様子を調べたりしている。
「オジイ!話を聞きゆうかえ?」
と私はニヤニヤ笑いながら言った。
「お・・・?」
と言ってオビ=ワンは、
また戸を眺め回している。
誰が見てもオビ=ワン、話を聞いていない。
風呂の時間なんてどうでもいい、と言わんばかりである。
部屋、着。
(入ることはなかったけれど、部屋の風呂もなんだか味があってイイ!)
夕食の時間まで1時間もないということで、
早速、我々は風呂へ。
創業は明治4年だという、
歴史の長いこの宿。
昭和9年の姿のままだという大浴場に、
オビ=ワンと浸かる。
シャワーもなく、
湯溜まりのような所から、
桶でお湯を汲んで体を洗う。
「石鹸は無いがか!」
とオビ=ワンは
家でいつも使っている固形石鹸を欲しがり、
ボディソープを嫌がる。
そしてオビ=ワンは湯船に浸かりながら、
まだ湯溜まりの前で体を洗っている私に尋ねる。
「この温泉の効能はなんな!」
「知らんで・・・!
俺、ここの従業員やないきねぇ!」
と私は笑いながら答えた。
オビ=ワンは、
「ほうか!(そうか!)」と言いながら、
大浴場の高い天井を見上げた。
(第9話へ続く!)
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