昼の数時間しかやっていないうどん屋さんも多いが、
夜にしかやっていない、うどん屋さんもある。
飲み屋を何軒かハシゴした私は、
自分の足元を見て、自分が真っ直ぐに歩けているかを確認しながら、
夜の高知市繁華街を歩いていた。
<うどんが食べたい・・・!
うどんでシメなきゃ・・・うどんでシメなきゃ・・・!
このままじゃ終われない・・・!>
『伊達男』
「釜揚げうどん」と書かれた"のぼり"を
初めて見つけたときから、随分と月日が経っていた。
私は、止まっていた時の歯車を突き動かすように、
木製の戸を開けて中へ入った。
barを思わせるような長いカウンターが、入口から奥へ伸びる、店内。
その一席に腰を下ろすと、
カウンターの向こう側にいた男性・・・大将・・・マスター?が"付きだし"を出してくれる。
付きだし?
と私は思った。
<このパターンは初めて・・・!
"うどん屋"で付きだしが出てきたのは初めてだ・・・!>
しかし、カウンターの後ろ側に並べられた酒瓶の数を見て、
"うどん屋"とは少し違う概念でやられているのだな、とも思った。
そして、その酒瓶たちはグニャグニャと歪んで見えた。
思考が入り乱れる。グニャグニャ・・・グニャグニャ・・・。
頭が重い・・・。酔った・・・私は酔った・・・。
このままでは、ダメだ。
うどんに呑まれる。
たとえ酒に呑まれたとしても、
うどんに呑まれるわけにはいかない。
<うどんを食べることは・・・俺の人生・・・!
うどんを食べることは・・・俺の人生そのものなんだッ・・・!>
『天ぷらぶっかけ』
(iPhone紛失騒動により、iPhoneの中に入れていたメモも消失。メニュー名を間違っていたらすみません・・・)
冷涼感ある透明の器に白い麺を入れて、
ヒョイと出してくれる大将。微笑。まさに伊達男。
<カッコイイ・・・!>
恋が始まる前にうどんを食べる。
<麺が伸びるような感覚・・・!>
それが割り箸を通して伝わってくる。
釣竿を通して、魚の挙動が伝わってくるように。
あるいは、ハンドルを通して車の挙動が伝わってくるように。
ニュンニュン伸びたそれを、私は口へ運ぶ。
噛んでもニュンニュン。飲んでもニュンニュン。
ニュンニュンと喉を伝ってニュンニュン落ちていく。
ふんわりサクサクの天ぷら。
「ニュンニュンからの、ふんわりサクサクか・・・」
と私はわけのわからない感想を口にした。
『かけうどん』
初めての「伊達男」に、
一人で入る勇気が持てなかった私に
同行してくれた知人は、「かけ」を注文した。
私も食べさせてもらった。
「"温"で食べると、また麺の食感が違う・・・!
ニュンニュンじゃない・・・!グォングォンだッ・・・!」
と私はまたわけのわからない感想を口にした。
かけ出汁に浸かった白い麺は、
噛んでもグォングォン。飲んでもグォングォン。
グォングォンと喉を伝ってグォングォン落ちていく。
麺線に塩気と小麦の香りを漂わせながら落ちて、
そして収まる。グォングォン。
(第2夜へ続く!)
「第2夜を読む」
◆ 伊達男
(高知県高知市追手筋1丁目1−11)
営業時間/酔ってグチャグチャで訊き忘れ!(;_;)
定休日/同上
営業形態/一般店
駐車場/無
(うどん代にチャージ料金がプラスされる分、割高になるので、
うどん目当てで行くというよりは、ここに飲みに行ってうどんを食べる、という使い方をしたほうが良いのかも!)