『前編を読む』
MISSION : 『マスターに気付かれないように食べて帰る』
破綻。
失意に打ちひしがれ、ぼんやり窓の外を見やる。
庭がある。門がある。門には草色の暖簾がかかっている。
暖簾の向こう側を、自動車が往来している。
<どこからきて…どこに行くんだろう…みんな…>
ぼんやり考えた。
窓際に植物あり。
小さな鉢の縁に、小さな立て札。
『はまぼう』と書かれている。
<食べれるのかっ…この…はまぼう…!食べれるのか…!>
『はまぼう』を食べようとしていると、背後から声。振り向いた。
マスター!!!
カレーを手に……!
華麗に現る………!!
『牛すじカレー』
カレーに小鉢、デザート、新鮮なお水まで付いて、700円。
<ありがたい…ありがたいっ…!>
しかし私にとっては…当然…!
これすべてが…前菜…!
<ではでは……!>スプーンを手に取り食べる。<トマトの香り…味…それからブンッブンッくるっ…!香辛料…スパイスっっっ…!!>
ありがちなカレーじゃないっ…!!
トマト畑とインド畑…!
それから日本の畑が合体して煮込まれた…!
そんな雰囲気……………!
全体的に…世界的っ…!!
食べる…食べる…食べる…!
世界の畑を…食べおおすっ…!!
カレー完食。
<まだまだ終わらせない…!
こうなったら…やるしかない…!>
やり遂げるのが…!
気持ちのいい人生ってもんだろ…!!
来るっ……!!
『本日の日替定食』
<言っただろう…カレーは前菜だとっ…!>
雑穀ごはんに…お漬物…!
それから………!
マス=ター汁…!!
さらにオカズが星の数ほど並んでいる!
中でもメインは『スマガツオの煮物』!
<まるで波…!スマガツオが太平洋の波のように…ざっぱーん…!盛られている…!!>
その背中に「生姜」と思われる植物。
<そういえば…俺…こういう植物作ってた気がする…>
熟年の恋のように、甘く濃厚な味付け。
<これは…これは…ご飯がいくらでも食べられる…!>
おかわりだっ…!
『草や』のご飯は、なんと「おかわり自由」!
ランチ時に、ご飯おかわり自由の店は最近高知でも増えてきた。
でも少しためらうことがある。
店の人に「すすす…すいません…!」
とドモリながら手を挙げ、謝るように発声し、さらに「おかわり!」と宣言する必要があるからだ。
その場合、おかわり自由でありながら、精神的な縛りで、じつは自由におかわりできない。
だが『草や』では、そんな心配は無用。
<自分で勝手に…よそっていいんだよ…!>
炊飯器からっ…!!
<素晴らしい…素晴らしいシステム…!いろんなことに気を遣ってしまう…言い換えれば空気が読める…俺みたいな人には…ありがたいシステム…!>
部活帰りの中学生のように、モリモリ食べる。
「うまい!もう1杯!」
都合3杯…!
食べおおす…!
ご飯を食べ、オカズを食べ、漬物を食べ…。
<いやぁ…美味しかった…!>
あとはマスターを食べるだけ☆
(※ ここで世にも奇妙な物語のテーマをかけていただくと、シットリします!)
世界はそれを…「恋」という…。
世界はそれを…「愛」とも呼ぶんだよ…。
◆ 草や
(高知県高知市鷹匠町2-1-41)
営業時間/
11:30~14:30(LO.13:50)
17:30~22:00(木曜日は夜営業なし)
定休日/日曜日、祝日
駐車場/1台(近隣にコインP多数)