【閉店】手打ちうどん「とがの藤家」標高8,000メートル級のうどんが炸裂

2013.12.26

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【閉店】手打ちうどん「とがの藤家」標高8,000メートル級のうどんが炸裂

2013.12.26

とがの藤家2

<ストレートでいくか…!
いいや…あえて変化球勝負という手も…!>

小麦をぶっかけ出汁で洗うような、死闘が始まろうとしていた。

とがの藤家11

高岡郡佐川町。
『とがの藤家』

とがの藤家13

この斗賀野の地で…
俺を待ち構えていたのは…

山…!!

見たこともないほど…!
高くそびえる山だった…!!

とがの藤家1

<かけ…ぶっかけ…醤油…釜揚げ…!どの系統の牌を切る…!?>

ここで間違えると、初っ端から状況は一気に暗転。
当然、メニュー選びには慎重を期す。

モチモチ食感の釜揚げは超危険牌…!前に釜揚げパスタを食べてわかってんだ…!あのとき…ラスト2割を残して彷徨った死線…!あれは今でもトラウマさ…>

メニューを見ていると、
蘇る、様々な思い出。

<食べたメニューの一つ一つに思い出がある…!幸福と悦びの中で苦しみ…しかしそれを乗り越えてきた…素敵な思い出がっ…!>

思わず感傷に耽ってしまい、頬を伝う水滴。涙。
ハンカチを持っていなかったので、服の袖で拭いていると、目が留まった。

ネバネバぶっかけ…!?

<これは…聞いたことがある…たしか納豆と山芋トロロが…ぶっかけ出汁に入った一品と聞いた記憶が…!>

俺は生まれた頃から納豆が大嫌いだった…!
だが…ハタチを過ぎて酒を飲み始めた頃から…食の好みが急激に変わり…突然納豆が大好きになった…!

ククク……

もはや俺に…食べられないものなんかないのだよっ…!!

<納豆が味方してくれれば…あるいは今日は余裕かもしれない…いや…そんな簡単にいくはずがない…きっとまた最初は幸せでも…途中から自分の許容範囲を超えてしまい…苦しむ羽目になるかもしれない…>

それでもいい…!

幸せなときもあれば…!
苦しいときだってある…!

でもそんな苦楽を…!
希望に向かって乗り越えていくのが人生だろっ…!

たまんねぇ…!
茨の道だろう…!!

そうやって注文した『ネバネバぶっかけ』

来るっ…!!

並や中ではダメ…!
特盛…特盛サイズでなきゃ…!

俺は苦しめない…!!

降臨…!
ネバネバぶっかけ特盛…!!

それは…山…!
誰が見ても世界クラス…!!

とがの藤家6

山頂…霞む…!
8000メートル級のド迫力っ…!!

<ふ…普段より盛ってない…よね……!
こんなに…山脈チックだったっけ……>

後戻りできない。
頼んでしまった以上は、食べきらなければならない。

それが……。
「よう食べんがやったら頼むな!」と言われ、
「お残し厳禁文化」で育った昭和の子の宿命。

高知屈指のうどんの名店と農民の、納豆の粘りをかけた一戦。
それは納豆を混ぜる音と共に、カチャカチャと幕を開けた。

うどん桃源郷…!
とがの藤家で俺を待ち構えていたもの!

とがの藤家5

それは山っ…!!

『ネバネバぶっかけ』という山…!

その標高……

とがの藤家4

圧倒的8000メートル…!!

とがの藤家7

<器の中に…トロロと納豆…>
カチャカチャと納豆を混ぜながら、少し迷った。<どうやって食べればいい…!?>

<浸けるのか…!?かけるのか…!?>
しかし、ぶっかけの形態。

<ぶっかけだったら…名の通り…
大抵…かけて食べる形式のはず…>

だが……!
相手は初対戦のネバぶ…!

<どんな手で攻められるかわかったもんじゃない…ならば…相手の出方を見るのも一つの策…>

よし……!
一旦…浸けよう…!!

トロロと納豆が入った小さな器。
それに、ぶっかけ出汁を注ぎ、箸で三者を混ぜ合わせる。

そして威圧感すら漂わす、とがの藤家のアルデンテ。
高知屈指の手打ちうどんを投入しおおす!

あとはただ……
出汁に身を任せ…食べるだけ…!!

<うおっ…新しい…新しい…世界…見えた…見えたというより…むしろ…新しい世界…入っちゃった…>

とがの藤家8

新世界…突入…!!

<攻めてくる…納豆の香り…!トロロの香り…!>
しかし!<そんな香り入り乱れる中で…麺の香り…小麦の香り…負けてないどころか…強烈な存在感を放ってくる…!!>

このうどん…!
もはやオーケストラ…!

ドヴォルザークもビックリだ…!!

最初は浸けて食べていた。
しかし手打ちうどん。長い。

<この山と化した特盛を…イチイチ浸けて食べるのも面倒だし…なにせ大変だ…>

だったら…いっそ…!
かけちまえっ…!!

山頂から……!
浴びせかけるっ…!!

納豆…トロロ…!
ぶっかけ出汁…!!

これが……!
これこそが…とがの藤家の……!

とがの藤家9

粘りの絶頂……!
ネバネバぶっかけっ…!!

混ぜようにも混ぜられない…!
とてつもない山…!

その山を慎重に崩しながら…!
あとはただ…食べるだけ…!

ゆっくり喉を通り…!
胃に落ちる…!

小麦の香りが鼻から抜ける…!

シッカリした太さがあるのに…!
あまり噛まなくても呑めてしまう…!

なんでしょう!この感じ!

アルデンテ!
スゴイネンテ!

幸福の中で悶え…苦しみながら…!
苦しみながらも悦んで…悦んで…!

はい!悦んで…!

悦びながらの……!

とがの藤家10

完食………!
ありがたいっ…!!

<やったぁ…!やったぞぉ…!!
一時は…どうなることかと思ったが…乗り越えた…あの巨大な山を…登りきった…!!>

通常ならば、これで帰るところ。
だが、このとき私はまったく別のストーリーを思い描いていた。

まだまだ下山しない…!

いこう………!
大将が麺切れしてしまうまで…!

とがの藤家3

醤油うどん中盛…!
倍プッシュだっ…!!

のちに伝説として語り継がれ…ない激戦。

とがの藤家12

ジョジョ立ちして、終わった。

とがの藤家11

◆ 手打ちうどん とがの藤家
(高知県高岡郡佐川町中組1325-1)
営業時間/11時~17時(麺切れまで)
定休日/火曜日
営業形態/一般店
駐車場/その辺

(肉つけ750円、生しょうゆ450円、ザブザブ550円、タイカレー700円、
釜あげパスタ700円、やさい天うどん550円、中盛50円増、大盛100円増、特盛200円増など)
『手打ちうどんとがの藤家』の場所はココ!