うんばらばーうんばらばー。
「ラーメン食堂 黒まる」のカウンター席に座り、祈るような気持ちでラーメンを待つ。
＜早く"黒まる"のラーメンを摂取しないとヤヴァイ……＞
私は小刻みに震える手でコップを持ち、水を飲んだ。
このところ「黒まる」に来ると震えが激しくなり、「黒まる」のラーメンを食べると震えが収まる。
どうやら禁断症状による震えらしい。
まだかまだかとラーメンを待った。
すると突然、後ろから誰かに肩を叩かれた。
「逮捕される……！」
瞬間的に、そう思った。
「竜一君だね？署まで同行願おうか？」
「違う！俺はやっていない！」
「じゃあこれはなんだね？」
「これは…アンナカだと思っていた！アンナカだと思っていた！」
そんな展開も予想しながら振り返った。
手には脂汗が滲んでいたが、黒まる禁断症状による汗なのか、この局面に対する緊張からくる汗なのか、わからなかった。
「ぬおっ！」
振り返った私は一瞬、言葉を「ぬおっ！」以外失った。
そこに立っていたのは、「雑種って言うな！！」という猫ブログを書いている"ちさもんた。"氏だった。
「ど……どうしてここに……？」
私が驚いて訊ねると、ちさもんた。氏は答えた。
「ラーメン食べに来たが……！」
我々は、ラーメン屋にどうしているんだ？ラーメン食べに来たんだよ！という、あとから考えてみると、なかなか笑える妙なやり取りをした。
ちさもんた。氏は、すでに食べ終えて店を出るところだったらしい。
「一人？」と訊いていると、物陰から誰が見ても、ちさもんた。氏のお母さんだとわかる女性が現れた。
それくらい二人の顔はよく似ていた。
こう言うと、きっとお母さんが喜んでくれるはずだという打算があって、わざと言うのだが、
お若く見えるので、
最初、「もしかして姉妹？」と思った。
注文した「日替わりランチ」が来たのは、ちさもんた。親子が帰った数分後だった。
「黒まる」では、日曜日と定休日の水曜日以外の毎日「日替わりランチ」が提供されている模様で、今日の「日替わりランチ」は「ざるラーメン」と「ハーフチャーハン」のセットとあった。
私は即決でそれにした。
＜黒まるの"ざるラーメン"…食べたことない…食べてみたい！＞
天に向けてそびえ立つ麺の山。
頂上に刻み海苔、両脇にはチャーシューと煮卵、二通りの登山道が用意されている。
だが私は道なき道をいく。
＜俺に道は必要ない＞
いきなり山頂の刻み海苔ごと、麺を箸掴み。
そのまま冷え切ったスープに浸けおおし、食べおおす。
水で締められた麺が、出汁の効いたスープをまとって口の中で躍動する。
＜ありがたいっ……！＞
箸が止まらない。黙々とズンズン食べ続ける。
気が付くと、手の震えが収まっていた。
麺をあらかた片付けてから、チャーハンを食べる。
食べながら思う。
もっと食べたい………。
また食べたい…………。
（このエピソードを持ちまして、黒まるシリーズ、一旦終わります。笑）
◆ ラーメン食堂 黒まる -KUROMARU-78
（高知県南国市大埇甲2301-4）
営業時間／
11:00～14:30(L.O.14:00)
17:00～22:00(L.O.21:30)
定休日／水曜日
駐車場／有
