「おお、2番よ2番。どうしてあなたは2番なの?」
気が付くと、そんな台詞を頭の中で何度も復唱していた。そう、まるでジュリエットのように。
▼「老麺館2番」は2017年11月現在、高知市愛宕山に移転されています。
(老麺館2番!高知・愛宕山に移転した元祖にんにくラーメンの店!)
カウンター席に座り、店の人が置いていってくれた水を一口飲む。
<どうして1番じゃなくて、老麺館2番なの……?>
もしかすると、そこには何か深い理由があるのかもしれない。聞けば感動してしまうほどの。
しかし、あえて訊かない。何でも答えを出そうとは思わない。私の脳は文系だ。
いかにも、職場の昼休みに抜けてきた、といった感じのスーツ姿の男性が多い店内。
そんな中、金髪で、しかもわりとラフな格好の私。
<遊び人風に見えるでしょ……?アタシが農家だと…誰も見抜けないはずっ!>
私が目指すところは、農家らしい農家ではなく、近未来系農家なのだ。
いったい私は何を言っているのだろう。私にもわからない。
昔、塩田町だったかにあった時代には何度か行ったことがあったけれど、ここ御座にできてからは初めて来る「2番」
メニューを見ていると、醤油ラーメン推しの雰囲気だったので、味噌にした。
それは私の性格がひねくれているからではなく、単純に味噌が食べたかったからだ。
だから、ひねくれてはいない。むしろ素直で可愛いくらいだ。
注文した「みそラーメン(大盛)」が来たとき、「これはっ!」と思った。
想定よりも器が大きかったのだ。
(※ 画像で見るとそれほどでもないですが、実物は直径2メートルくらいあります。嘘)
「いっぱい食べて大きくなります」で有名な私も怯むほどの大きさだった。
<スープも全部飲んだら増えるだろうな……体重が…即座に2キロほど……>
味噌の甘い香りがする。
「ティボルト……!あなたにロミオは渡さないわ!」
私は小さく呟いた。サラリーマンだらけの店内で。
たったいまわかった。
この味噌ラーメンは、ティボルト。つまり恋敵だ。
ティボルトを何とか攻略しないことには、ロミオとの明日はない。
私はあくまでジュリエットだ。何故かというと、素直で可愛いからに他ならない。
「ちくしょー!ティボルトめ!」
身も心もジュリエットと化した私は必死で、みそラーメン・ティボルトに喰らいついた。
ティボルトは味噌の香りとともに、芳醇に攻めてくる。
「ハッハッハ!詰めが甘かったわね!ティボルト……!図体が大きいわりに案外食べやすくて、いくらでも入るわよ!」
あなた!本当にまろやかねっ!
数分後。私は飲み干していた。
味噌スープの…いやティボルトの最後の一滴まで。
さあ、寝ているロミオのもとへ行かなくては。
◆ 老麺館 2番
( 高知県高知市南御座4-23)
営業時間/11:00~16:00
定休日/無
駐車場/有