火の国・熊本県に行ってみたいと思ったのは、桜が散ってまだ間もない頃だった。
でも熊本に行くとなると、少し遠くて大変だ。
躊躇していると名案が浮かんだ。
「もう、めんどくさいから近場の"味千拉麺"でいいや」
そんなわけで、早速、熊本ラーメンの店「味千拉麺」の南国店へ高級な軽自動車を走らせた。
うどんに比べて、ラーメンは未訪の店が多い。
<うわぁ…初めての店で緊張する……>
私はガタガタと手を震わせた。
しかしそれは緊張によるものなのか、アルチューによるものなのか、イマイチよくわからなかった。
昼のオーダーストップギリギリの時間に入店したので、店内は比較的空いていた。
<何にしようかな……>
メニューを眺めていると、熊本ラーメンの店らしい一杯があった。
<これにしよう…なんとなく熊本に来たって気分に浸れそうだ……>
注文してからボケーッとしていると、テーブルの上に黒い奴を発見した。
熊本県のゆるキャラとして全国的に有名な、"くまモン"だ。
<くまモンがいるんだったら、ハチミツを持ってくるべきだったな……>
ひとしきり悔やんでから、気が付いた。
ハチミツが好きなのは、別の熊だっけ。
じつは私はそれほど、くまモンに興味がなかった。
そして、またそれからボケーッとした。
やがて注文したものが来た。
「パイクー麺」だ。
<すごい………!>
阿蘇山みたいな……!
圧倒的…!
ド迫力っ…!!
私はたちまち感動した。
久々に「圧倒的っ!」などと言い始める次元で感動した。
やっぱり料理は攻撃力やっ!
そこに愛情というスパイスが加わると、さらに美味しくなることを私は知っている。(素敵、俺が)
出身がうどんなので、麺から食べる。
スープを先に飲むことは、まずない。
なぜならば、うどんにはスープが必ず存在するわけではない。
「醤油うどん」や「釜玉うどん」などには、スープがない。
だから麺から食べる癖が付いていて、対ラーメンにおいても、スープから飲むという発想がそもそもない。
さらに注目のパイクー。
豚肉に軟骨が付いている。その軟骨がトロトロ。
<なんだこりゃあ!この軟骨…口の中でとろける……!>
大事件。
軟骨が、とろけおおしたっ!
パイクーは失踪した。
フライドガーリックの香りとともに……。
<この豚骨スープ……!この細めの麺……!それに、くまモンだ……!なんだか熊本に来たって感じがするなぁ……!>
私は満喫していた。
熊本の景観。そして空気を。
そう。ここは熊本なのだ。
高知県南国市の熊本県なのだ。
私はいったい何を言っているのだろう。
私にもわからない。
◆ 味千拉麺 南国店
(高知県南国市大ソネ甲1450−1)
営業時間/
11:00~15:00
17:00~23:00
定休日/?
駐車場/有