「食べちゃダメだってわかってるけど、
なにも食べないわけにもいかないしなぁ」
生姜農家の竜一は、
最近お腹の出方が気になっていた。
「どうせ食べるなら、やっぱりうどんがいい…」
『えききた』
生姜王子はうどんが好きだった。
ぶっかけうどんを、ぶっかけられたいくらい好きだった。
「カレーうどん推しの"えききた"……!
でも今日は釜玉………!
釜玉が食べたい…!釜玉にしよう…!」
「ここに来たら、
漬け丼を付けたくなるところだけど…
カロリーが気になる……」
うどんに漬け丼………!
つまり…うどんにごはん……!
炭水化物!炭水化物っ……!!
渋々、漬け丼は我慢することにした。
しかし、大盛にしても値段は変わらない
というシステムを取っている『えききた』
大は自重できない。
「おんなじ値段なんだったら食べなきゃ損!」
貧乏根性だ!
『釜玉のおうどん(大)』
「うげぇ!美味しそう!
玉子の黄色さ!食欲をそそる!」
小皿に別盛にされた鰹節とネギを全部載せ、
容赦なく混ぜて、口いっぱいに麺を喰らう。
「玉子と鰹節と小麦の香りが
入り混じって鼻に抜ける!」
うどんが食べられる幸せ、
噛み締める。
「醤油やぶっかけが白の楽園ならば…
釜玉は黄色の楽園………!
すでにうどん百景の一つに登録されている絶景!」
うどんが一本、また一本、
喉を通り、胃に落ちる。
食べるごとに
身体をうどんが満たしていく。
身体中の血管が、一本、
また一本とうどんになっていくように思えた。
「いやぁ…幸せっ……!」
お腹を触った。
ぽっこりと前に出ている。
丸い。
お腹が丸い。
そのとき、どこからともなく
妖精さんが現れた。
「生姜王子というより、
あなた、生姜玉子ねっ…!」
ここで一句。
【釜玉うどん いっぱい食べて 俺、玉子】
(字、余りまくり)
『わかめの玉子とじあんかけうどん』
◆ お食事処 えききた
(高知県高知市新本町2-1-25)
営業時間/
11:00〜14:30(LO)、18:00〜22:00(LO)
※日曜は11:00〜15:00(LO)、17:00〜21:00(LO)
定休日/無
営業形態/一般店
駐車場/隣接するコインパーキング