『さぬきや』は、高知市神田の細い路地の先にある。
セルフ方式の店なので、まず盆を取ってカウンター越しに注文する。
<んん…『かけ』にしようか…。『釜玉』でもいいんだけど…>
セルフ店は悩む時間を与えてくれない。入店してから考えていたのでは遅い。カウンターの向こう側では店のお姉さんが待っている。
脳内で入り乱れる思考。
<最近醤油食べてないから…んんん…醤油!>
うどんを受け取ってセルフレーンを進み、生姜をたっぷり。ゲソ天を載せて。
『しょうゆうどん(大)』370円にゲソ天がいくらだったか…。いずれにしてもワンコイン500円あれば食べられるうどんは、高知ではトップクラスにリーズナブル。
エッジの効いた麺に醤油を垂らす。
醤油うどんを食べるたびに、いつも思うのだけれど、「うどんは醤油をかけただけで食べられる」これってかなりすごいことではないだろうか。
スープを必要としない。醤油だけでいい。醤油で麺が食べられるのだ。
うどんは水と塩と小麦粉でできているというから、つまり水と塩と小麦粉と醤油で食べられるわけだ。
すごくね?と思って、その話を酒の席などで知り合いに何度か力説した記憶があるのだけれど、皆一様に「ま…まぁ」みたいな薄い反応しかしてくれない。でもすごくね?
水と塩と小麦粉と醤油で、お金を取れるくらいの料理ができちゃうんですよ!
誰に言っているのかわからないのでこの辺でやめておくが、やっぱりうどんはすごい。うどんという食べ物を発明した人は天才だと思う。そいつのおかげで私は彼是十年ほど、うどん中毒症状に悩まされている。
(※醤油うどんは生姜をいっぱい載せると美味しいよ。笑い)