『昼編・うっ!を読む』
もはや「ひろめ市場」は
高知の観光名所の一つということだろうか。
観光客風の人、多し!
平日にも関わらず、
たくさんの人で賑わっていて、
様々な方言が飛び交っていた。
土佐弁とはまったく違うアクセントで話す
見知らぬ男性2人と同じテーブルで、
念願の"ひろめうどん"を食べていると、
なんだか自分が
観光客である気がしてきた。
<せっかく高知に来たんだ・・・!
うどんを食べただけで帰るなんて勿体無い!
やはり高知ならではの味覚を堪能して帰らなきゃ!>
高知ならではの味覚といえば、なんだろう!と考えた。
答えはすぐに出た。
「カツオのタタキだ!」
<高知といえばタタキだろう・・・!
高知に来てカツオのタタキを食べなきゃ、嘘だよっ・・・!>
魅せてくれ・・・!
カツオ県のソコヂカラっ・・・!
何が何でも絶対にカツオのタタキを食べてやる!
と決心した。
とは言っても、
ひろめ市場内にカツオのタタキを売るお店は数店ある。
一体、どのお店のタタキを食べれば良いのかわからない。
<ファミーユで飲んでいるときに、
評判の店を、あっちゃんに聞いておけば良かったな!>
なんて思いながら、
ひろめ市場内をウロウロしていたそのとき!
ファイヤー!
炎を上げてカツオを炙る
豪快なお店を発見した。
どのお店が美味しいかなんて見当も付かないので、
とにかく私は、そのお店のタタキを食べてみよう!と思った。
『明神丸』
数名の列に並んでジリジリと前へ進む。
先ほどカツオをファイヤーさせていた、
3方を耐熱ガラス(?)で囲む、"カツオ炙りスポット"は、
まだ炙ったカツオのストックがあるのだろう。無人だった。
が。
ジリジリ進んでいた私が
"カツオ炙りスポット"に差し掛かった瞬間、
店のお兄さんが炙りスポットにやってきて、藁に火を点けた!
ズゴォォォンッッ・・・!
圧倒的・・・!
業火っ・・・!
<うわぁっ・・・すごい・・・!
魅せてくれるぜ・・・高知っ・・・!>
私の脳内設定は、あくまで「俺、観光客」なので、
観光客気分で、猛烈に感動!
メニューいろいろ!
<この局面は迷わない・・・!
俺は高知県人でありながら、生まれてから一度も
"塩タタキ"を食べたことがないんだ・・・!>
俺の眼中にあるのは、
塩タタキだけっ・・・!
店のオバチャンに「塩タタキ丼!」と注文して、
またジリジリ前へ進んだ。
『塩たたき丼』
<おぉー!これが塩タタキ丼・・・!
味噌汁まで付いているなんて、ありがたいっ・・・!>
ガブガブ食べる。
<ご飯が美味しい・・・!
なにこれ!酢飯・・・?
米に味が付いてる気がする・・・!>
観光客のフリをしながら、
生まれて初めて"塩タタキ"を食べて、
私はまた一歩カツオ人間に近付けた、と思った。
早く・・・カツオ人間になりたい・・・。
(昼・夜・ひろめ市場!完全攻略ガイド!完)