あれから天津飯を食べに行った。
「草や感謝祭」後に呑んでいたラストチャンスを出て、
私は高知市帯屋町のアーケード街をアテもなく東へ歩いた。
<お腹が空いた・・・>
海ぶどうを食べてもなお、私のお腹は空いていた。
<どこかでナニカを食べよう・・・>
私は、通りがかりに偶然目に付いた一軒の店に入った。
そこは、ある企業が経営する店だった。
キチンと教育された接客。
豊富なメニュー。清潔な店内。
とても良い店だった。
でも、なんだかすべてが型にハマリ過ぎていた。
<ときめかない・・・>
と私は思った。<もっとゾクゾクしたい・・・>
1杯だけ飲んで、その店を出た。
料理も2品ぐらいしか頼まなかったので、まだお腹が張っていない。
<米をガッツリ喰らいたい・・・>
夜の追手筋。祝前日とはいえ日曜日だからか人通りが少ない。
<天津飯がいいな・・・天津飯・・・食べたい・・・>
『中国庶民料理 珉珉』
私は天津飯を求めて「珉珉」という店にたどり着いた。
年月の経過を感じさせる、草臥れた店内。
飾り気はない。
<だが・・・それがいい・・・!>
注文は「天津飯」と決めていたけれど、一応メニューを確認した。
<やはり現時点での最強は天津飯・・・!>と私は思った。
<他のどんなメニューも、今この局面では天津飯を超えられない!>
開けっ放しになっている入口の扉の向こう側から、
道を歩く酔っ払いの声が時々聞こえてくる。
やがて『天津飯』登場。
<分厚い玉子・・・!トロトロの餡・・・!>
レンゲですくって口へ運ぶ。<これっ!これっ!これこそ天津飯!>
ウィスキーを数杯、ウォッカを数杯。
ほどよく呑んで、多少の料理を食べていたにも関わらず、
天津飯は、ゆっくりと自然に私の中に納まり、私を満たした。
珉珉は私をゾクゾクさせる。
天津飯は私をときめかせる。
お腹が張った。満足した。
今夜はぐっすり眠れそうだ。
翌朝に体内のアルコールが残りそうな気がしたので、
天津飯を食べ終えてから大量の水を、お代わりして飲んだ。
◆ 中国庶民料理 珉珉
(高知県高知市廿代町1−1)
営業時間/18時~3時
定休日/日曜日
「珉珉」の場所はココ!