前回、人生初のスシローとなった『スシロー高知潮江店』で、
数年ぶりに、スーパーのパック入りの寿司ではない寿司を堪能した挙句、
タッチパネルに夢中になり、童心に返ってしまった竜一。
以来、『スシロー=楽しい』の図式が脳内で出来上がっていたのだった。
それから月日は流れた。
私の中でスシローとのことは、すっかりと良い思い出に変わっていた。
あの頃は、私にだけ魅せてくれていたスシローの優しい微笑みも、
今は、もう他の誰かのものになっているのだろう。
日増しにスシローのことを思い出す日も減って行き、
私は私でそれなりに楽しく過ごしていた、ある日。
ふと、スシローのことが気になった。
<懐かしい彼の声・・・また聴きたいな・・・!
今・・・電話でもかけてみたら・・・彼は驚くかな・・・!>
ケータイを手にして、アドレス帳を開いた。
<あっ・・・!そういえば・・・!
電話番号・・・!知らないんだった・・・!
これじゃ電話・・・出来ないや・・・でもっ・・・でもっ・・・!>
自分の中で、何か止めることの出来ない運命の歯車が、
「ギシリ・・・ギシリ・・・!」と音を立てて回り始めていた。
「行こう・・・彼に逢いに行って・・・!
確かめよう・・・この想い・・・!」
スシローに行くことを決意した時。
私は男になった。
「乙女口調はもうヤメだっ・・・!
キッチリ喰いまくってやるぜっ・・・!」
今度はインター店っ・・・!
『スシロー 高知インター店』
18時34分・・・!
入店・・・!
<まだこの時間なら・・・空いているだろう・・・!>
そう思ったのは、浅はか。
待合席では既に10人強の人々が座って待っていた。
私も整理券を取って待つ。
次から次へと新たなる客が入って来て、
雪ダルマ式に膨れ上がる待機客。
通常、他の飲食店では「待たなければ食べられない」と分かるや否や、
断念して別の店に行ってしまう人も多い、とにかく待てない県民性。
それが高知県民。
しかし、ここでは誰も諦めない。
皆・・・!
覚悟が違う・・・!
「何としてでも食べにゃならんのや・・・!」
という決死の覚悟・・・気迫・・・!
腹構え・・・!心構え・・・!
それを持ってスシローに来ているのだ・・・!
私も滝に打たれる修行僧のように、
「ジッ」と歯を食いしばって順番を待った。
20分ほど待ったところで、
私の持っていた整理券の番号が呼ばれた。
<今日は一世一代・・・俺の晴れ舞台・・・!
理が非でも・・・掴み獲るんだ・・・栄光の皿をっ・・・!>
などと自分で自分にプレッシャーをかけながら、
店員のお姉さんの後を付いて行く。
すると、お姉さんは特定方向を指し示して言った。
「コチラへどうぞ・・・!♪」
<うそっ・・・!マジかっ・・・!>
お姉さんが指し示した・・・!
その先は・・・テーブル・・・!
圧倒的っ・・・!
テーブル席・・・!
<テーブル席といえば・・・!
選ばれし者のみが座れる特等席・・・!
俺みたいな平民が座って・・・いいのかよ・・・お姉さんっ・・・!>
疑心暗記しつつお姉さんの方を見ると、
お姉さんは天使のような表情で微笑んでいた。
<信じらんねぇ・・・出来るだけ待ちたくねぇから・・・!
カウンター席でもテーブル席でも・・・!
どっちでもいいってのを選択していたのに・・・!
それでテーブル席に座れる・・・!
そんな奇跡パターンってあるんだ・・・!>
内心、テーブル席に座りたかったから、嬉しかった。
<感謝・・・感激・・・マジ深謝・・・!
これなら・・・やりたい放d・・・!
いや・・・!存分に楽しめそうだっ・・・!>
(後編へ続く・・・!)
『スシロー 高知インター店 後編/サーモン大好き竜一さん』